TOP記事投稿「ワン、ツー」マイクチェックは何をチェックしている?
ライブハウスのスタッフに聞いてみた

「ワン、ツー」マイクチェックは何をチェックしている?
ライブハウスのスタッフに聞いてみた

ナレッジ
thumb

ライブに行くと必ず見かける「マイクチェック」。

「マイクチェック、マイクチェック」「ワン、ツー」などと声出ししているところを見たことがある人も多いと思うが、あの作業は実際なんのためにやっているのだろうか。

今回は、Rinky Dink Studio のチーフエンジニア・山下大輔さんに、知られざるマイクチェックの世界について伺った。

<プロフィール>
山下大輔/Rinky Dink Studioチーフエンジニア
数々のレコーディング、海外含むライブツアーPAとして活躍中
Rinky Dink Studio系列のライブハウス「下北沢ERA」の音響も担当

マイクチェックには「ワン、ツー派」「CD派」「ノイズを流す派」などが存在する

――今回は、Rinky Dink Studioチーフエンジニアの山下さんに、ライブに行くと必ず見かける「マイクチェック」についてお聞きしたいです。まず、マイクチェックとは何のためにやるのでしょうか?

山下:スピーカーのチューニングです。

スピーカーって、種類によってけっこう音質が違うんですよ。だから、それに合わせて音を調整しているんです。

――「ワン、ツー」という声出しもよく見かけます。

山下:声を出してスピーカーの周波数帯域のバランスをチェックしています。言葉によって強調される周波数が変わるので、チェックの目安になります。

「ワン、ツー」といった声出し以外に、いつも聴いている音源を流してチェックする人もいます。声だと出せない低音などをチェックするときに便利です。

「ザーッ」というノイズを流して、測定ソフトを使ってチェックする方もいます

――そういう「声出し派」「CD派」といったマイクチェックの流派は、どうやって決まっていくのでしょうか?

山下:どうなんでしょうね(笑)

自分の場合は、声と音源のチェックどちらもやります。皆さん、先輩に教えられたものを現場に合わせて使っているんじゃないでしょうか。

――なるほど。マイクチェックって通常何名ぐらいでされてるんでしょうか?

山下:ひとりですね。自分で音を出して、自分でその場でチェックします。

――ステージで声を出す人と、裏側でそれをチェックする人がいると思っていたんですが、全部ひとりでされてるんですね…?!

山下:そうですね。自分で音を出しながらタブレットで調整しています。

――ステージスタッフって意外と少人数制なんですね……!

山下:現場の規模感によってスタッフの人数も変わってくると思いますよ。小さなライブハウスだと2人だったり、大きなイベントになると大人数になると思います。

大勢の前でも特にマイクチェックは緊張しない

フェスの場合、マイクチェックの時点でたくさん人が集まっていることも多いですが、ひとりでステージに立ってマイクチェックのために声を出すのは緊張しませんか?

山下:うーん……。まったくしないですね。
「マイクチェックのときの感情は無です」と答える山下さん

――そうなんだ…!

山下:パフォーマンスするのはアーティストですから。僕はいつも無でやっています。

どんな質問でも冷静に答えてくれる山下さん。新人時代からマイクチェックで緊張したことはなかったらしい。

――マイクチェックをするとき、特に難しいことはありますか?

山下:よく響く会場の場合、お客さんがいるかどうかで、音の響きがけっこう変わってしまうんです。

「低音が強いな」と思ってけずったのに、いざお客さんが入ったら低音を足さないといけなくなったり。そういう予測をしないといけないのは難しいですね。

――なるほど!せっかくなので、ライブハウスでいい音を楽しむコツについてもお聞きしたいです。音が響く会場と響かない会場なら、どちらの方がいい音を楽しめるのでしょうか?

山下:そこは好みが分かれると思います。演奏される音楽の種類にもよるかと思いますね。

響きすぎると調整が難しいんですけど、響かなすぎると今度は余韻がなくなってしまうんです。
だから、会場については自分が好きなところに行くのがいいと思います。

――これからライブに行くときの参考にします!

後編 では、下北沢でライブハウスERAの店長を勤める久保寺さんにライブハウスの裏側についてお聞きしていく>

TEXT:まいしろ

エンタメ分析家。データ分析やインタビューを通して、なんでもないことを真剣に調べてみた記事をたくさん書いてます。音楽と映画が特に好き!
Twittter:https://twitter.com/_maishilo_
note:https://note.com/maishilo

PHOTO:和田貴光

Top Top
merumaga merumaga
E-mail Newsletter

メルマガ登録はこちら