最近のライブグッズの主流はアクリル!ライブグッズのトレンドをグッズメーカーに聞いてみる
ライブに行くと、ついつい欲しくなってしまうのが「ライブグッズ」。
見ているだけで楽しくなるグッズですが、長年見ていると、グッズの流行り廃りを感じることがしばしばあります。
今回は、アーティストのグッズ制作を多数手がけられている株式会社ムラカミの村上慎弥さんに、「ライブグッズのトレンド」についてお聞きしました。
村上慎弥さん
1988年東京都足立区出身。東京工科大学大学院を卒業後、WEB・スマートフォンアプリディレクターの職を経て、家業である株式会社ムラカミに入社。以後、グッズ制作のトータルコーディネーターとして、日々奮闘中!プライベートでもグッズやおもちゃを買い漁って日々研究中!
最近のライブグッズのトレンドは「アクリル」
- 今回は「ライブグッズのトレンド」についてお伺いしたいと思っています。
まず、株式会社ムラカミでは、どんなグッズを制作されているのでしょうか?
「グッズ」と名のつくものならなんでもやっています。
アーティストだけでなく、アニメ・ゲームなどのグッズも作っていて、あわせて年間500〜600種類ほどを制作していますね。
- すごい量ですね!多数のグッズを作られる中で、「最近増えてきたな」と感じるグッズはありますか?
最近は、アクリルの商品が特に人気だと感じます。
どのアーティストさんも、(ラインナップの中に)1種類はアクリルのグッズを入れている印象がありますね。
- 確かに、アクリルのグッズを見かける機会が増えたように思います。
アクリルのグッズ自体は昔からありますが、印刷などの加工が容易になったことや、安価になってきたことで、「安い・軽い・フルカラー」が実現できるようになりました。
それにあわせて、アクリルのグッズ注文が増えていますね。
それ以外にも、金属や革を使ったグッズも最近人気だと感じます。
- コロナ禍の影響で増えたグッズなどはありますか?
わかりやすい例だと、プリントマスクが増えました。
※画像はイメージです(「KENDRIX Media オリジナル プリントマスク」は実在いたしません)。
逆に、対面で販売することが多いグッズやECサイトで売りにくいグッズ、例えばガチャガチャのようなグッズは、制作を控える方が多くなっています。
- 社会情勢にあわせて、グッズも変化しているんですね。
そうですね。グッズは社会の影響をかなり受けやすいんですよ。
最近だと環境への意識が高まっているので、それにあわせてエコバッグのグッズが増えたりしています。
あとは、アナログ盤のレコードを出すアーティストが増えてきたので、レコードプレーヤーのグッズを作るといった例も出てきています。
いまのレコードプレーヤーは、スピーカーやバッテリーを内蔵しているモデルもありますし、持ち運びも簡単なので、フェスに持っていくことを想定して作られたりしていますね。
- おもしろいですね!「一世を風靡したけどいまは見なくなったグッズ」などもあるのでしょうか?
20年ほど前ですが、ガラケー用のビニールストラップはものすごい数が作られていました。でも、スマホが普及してからは、1本も作られなくなりました(笑)。
※画像はイメージです(「KENDRIX Media オリジナル ガラケー用ストラップ」は実在いたしません)。
スマホのケースも当初はよく作られていましたが、いまはスマホのサイズが各社違うので作りにくいグッズになっています。ストラップと違って何個も買うものではないので、スマホ関連のグッズは難しくなっていると思います。
特に制作が難しいグッズは「ぬいぐるみ」
- 株式会社ムラカミでは、「おちょこ&とっくり」「ラーメンどんぶり」などのユニークなグッズも作られています。
※画像はイメージです(「KENDRIX Media オリジナル ラーメンどんぶり」は実在いたしません)。
海外のアーティストさんが日本に来るときに、日本ならではのグッズを作りたいということで注文をいただくことがあります。
日本酒が好きなアーティストさんだと、おちょこやとっくりを選ばれることがありますね。
- 特におすすめのグッズなどはありますか?
数は出にくいのですが、1個10万円ほどの高額オルゴールは、なかなか他では作れないのでおすすめですね。
長年活動されているアーティストさんのアニバーサリーグッズ・メモリアルグッズとして人気がありますね。
- 作るのが特に難しいグッズなどはありますか?
ぬいぐるみは難しいです。
※参考資料:JASRACの公式キャラクター「ジャスラ」のぬいぐるみ(実在します。)
特にアイドルグループのぬいぐるみを作るのは大変で、メンバーごとにまつげを長くしたり、髪型を変えたりして作ります。
作っている間に撮影が入って髪型が変わることもあるし、パーツの位置が少し変わるだけで印象が変わるので大変ですね。
ただ、最近は「ぬい撮り」というぬいぐるみを使って写真を撮るファンが増えているので、ぬいぐるみを制作される方も増えています。
今後はより凝ったデザインのグッズが増えていく
- グッズの作り手であるアーティストについてもお聞きしたいのですが、「こういうジャンルのアーティストはこのグッズをよく作る」といったジャンルごとの傾向の違いはありますか?
「ロックだと黒をベースにしたグッズが多い」「アイドルだとフルカラーの明るい色のグッズが多い」といったなんとなくの傾向はあります。
ただ、グッズの違いは、ジャンルよりもファン層の違いの影響が大きいです。
たとえば、新人アーティストの場合はファンの方も若いので低価格のグッズが多いですし、逆にベテランアーティストの場合は、高額で良質なグッズを作られることが多いです。
- 音楽のテイストやジャンルよりも、「どんなファンの方が多いか」の方がグッズ作りでは大切なんですね。
そうですね。グッズを初めて作るアーティストの方は、SNSでファンが欲しいと言っているグッズを調べるのがいいと思います。
それから、自分とファン層が似ている他のアーティストの方のグッズを参考にするのもおすすめですね。
- 他に、グッズ作りでおさえておくべきコツはありますか?
著作権まわりの確認は必須ですね。
例えばパロディ商品などでぎりぎりを狙いすぎると、制作を引き受けてもらえないこともあります。
- オルゴールのように音源を使うグッズは、特に注意が必要ですね。
そうですね。アーティストの方であれば著作権の問題は外せないところなので、使用していい音源かどうか、確認は必須です。
- 今後増えそうなグッズなどはありますか?
今後は凝ったデザインのグッズが増えていくと思っています。
アーティストのグッズって、昔は種類があまり多くなかったように思うんです。でも今は、アニメやゲームなど他のカルチャーの影響も受けながら、いろんなグッズが作られるようになりました。
いろんなグッズが身近になったことで、「単純にプリントする」といったグッズは減りつつあります。
プリントするだけでなく凹凸をつけたり、カラーバリエーションをつけたり、素材に変化をつけたり、デザイン面で勝負するグッズが今後は増えていくでしょうね。
- 時代に合わせてグッズもどんどん進化しているんですね。
グッズは、アーティストからファンへ思いを伝えるものでもあるんです。
今後もグッズというもの自体はなくならないと思いますし、自分としてはこれからもアーティストやファンの方に喜んでもらえるものを作るお手伝いをし続けたいと思っています。
- 本日はありがとうございました!
TEXT:まいしろ
エンタメ分析家。データ分析やインタビューを通して、なんでもないことを真剣に調べてみた記事をたくさん書いてます。音楽と映画が特に好き!
Twittter:https://twitter.com/_maishilo_
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