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防音室なのに軽量?組立式防音室「OTODASU」を体験取材!

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自宅で楽曲制作する音楽クリエイターにとっての永遠の課題・防音対策。
KENDRIX Mediaでも以前、「音楽クリエイターのための賃貸マンション「TRACK」をのぞいてみた」を公開したところ、多くの反響をいただきました。

その後も編集部にて防音対策の情報を集めていたところ、組立式防音室「OTODASU」なるものを発見。
とあるイベント会場で手に入れたチラシによると、工事不要の組立式で、自宅に簡単に防音空間を生み出せるとのこと。さらには、軽くて通気性も良く、簡単に解体してお部屋の模様替えやお引越しまで楽々できてしまうとも。

失礼ながら少し半信半疑なまま、渋谷にあるOTODASUの展示場にお邪魔して実際にその性能を確かめてみることに。今回はボカロクリエイターのEO(エオ)さんにご協力いただいて、クリエイター目線で「OTODASU」の性能をチェックしてもらいました。

EO(エオ)
ボカロP。作曲・作詞・編曲を行う。
流麗なサウンドプロダクション、歌詞と映像に漂う独自の世界観に魅了されるEOサウンド中毒者が増殖中。JASRAC準会員!
https://www.youtube.com/@eo_aui7740
https://x.com/eo_aui7740

普段はヘッドフォンでモニターしながら楽曲制作を行っているというEOさん。

「パソコン一つあればどこでも楽曲制作できるフットワークの軽さはボカロクリエイターの強み。その一方で、満足に音を鳴らすことができない環境で制作している方が多く、まさに自分もそのひとりです。今日の見学をとても楽しみにしていました!」

いざ、展示室へ!

渋谷駅から歩いて5分ほどのところにあるOTODASUの展示場。
展示室へ足を踏み入れると、白と黒の防音室が立ち並びます。

展示されている防音室に書かれたサインは、eスポーツの大会にブース出展した際に選手の方々に書いてもらったサインなのだとか。防音室というとピアノやバイオリンといった楽器演奏をイメージされる方も多いかと思いますが、OTODASUユーザーにはeスポーツ選手や配信実況者、ナレーション業など幅広い属性の方がいらっしゃるそうです。

OTODASU展示場には、現在4種類の製品が展示されています。そのなかでも小型の椅子とテーブルが置ける最もスタンダードなタイプ「OTODASUⅡ」(外寸:高さ1,912 × 巾1,240 × 奥行1,240mm)、さらに、鍵盤数の多いMIDIキーボードなども設置可能な大型タイプ「OTODASUⅡ DEKA」(外寸:高さ1,940 × 巾1,740 × 奥行1,740mm)をレビューさせていただきました。


スタンダードなタイプであるOTODASUⅡ

OTODASUの壁材はプラスチックダンボール。重さはOTODASUⅡ DEKA(天井ファン・吸音材付き)でも88キロほどのため、床の凹みが気になる一般向けの賃貸物件でも安心です。
白い製品は光を通すので、内部にも室内灯の灯りが届きます(没入感を求めるゲーム配信者向けに、壁材が黒く光を通さないタイプもあります)。

天井にはファンを付けることができ、OTODASU内部も室温と同程度を保つことができます。音漏れが気になるときはファンの部分にカバーをすることも可能です。



OTODASUは、完全な防音ではなく音量を生活音レベルまで下げることを目指しているそうです。単に密閉空間にするのではなく、内部の明るさや換気性能など過ごしやすさも重視されています。

EOさんの制作環境を再現!

あらかじめ机とゲーミングチェア、モニターディスプレイが設置された大きめサイズのOTODASUⅡ DEKAに編集部が用意したモ二タ―スピーカー「IK Multimedia iLoud Micro Monitor」を設置させていただきました。

さらに、EOさんにご持参いただいたノートPCとオーディオインターフェースを使って、再生回数500万回を超えるEOさんのオリジナル楽曲『8番出口』のステムデータを再生していただくことに。
いざ、爆音で流してみます!!


ドアを開けた状態でもかなり吸音され、ドアを閉めると体感で半分ほどの音量に。
さらにOTODASUが設置された部屋から廊下などに出てしまえば、ほとんど気にならないレベルの音量になります。

内部に貼り付ける専用の吸音材「OTODASU MAGICⅡ」は、音を吸う吸音材と音を跳ね返す遮音材を組み合わせることで心地良い響きと高い防音性能を実現。OTODASU内は決してデッドな空間にならずに自然な音の響きを楽しめます。
「普段の制作時の音量であればほとんど外に漏れないですね!」と、EOさんもその性能の高さを実感されていました。

ギターの音だとどうなる…?

電子音に関する防音性能を実感できたところで、今度はギターの生音でチェック。
EOさんにOTODASUⅡ内で演奏していただきました。


「外に漏れにくい割に、内部では生音の響きが保たれているので演奏していて楽しいです」
ここでも、吸音材の高い効果が感じられました。

ちなみに、EOさんが一番驚かれていたのはこのパーツ。OTODASUの製品は全てこの小さなロックパーツだけで組み立てられています。片手でパーツを回して引き抜けば簡単に取り外せます。
組み立て時や解体時に工具は一切必要なく、お部屋の模様替えやお引越しの際も30分あれば分解可能。
従来の組立式防音室と比べると圧倒的にフレキシブルで、さまざまな住環境に寄り添える仕様です。

EOさんに感想をインタビュー!

ここからは、OTODASUを販売するCoolish Musicの角村周一(かくむらしゅういち)さんにも加わっていただき、EOさんからOTODASUを体験した感想をお聞きしました。

――EOさん、今日はOTODASUを体験してみてどうでしたか?

EO:最初は防音室での作業ってどんなものなのか全く想像がついていなかったのですが、実際に自分の機材を設置させていただいてすごくイメージが湧いてきました。防音性能についても、これだけ簡易的な割にはびっくりするほど音量が下がりますね。自宅だとこれに加え一枚部屋自体の扉を挟むことになるので、音量としてはかなり軽減されるなと。さすがに夜中に大音量は難しいですが、日中であれば本当に気兼ねなく音出しできそうです。

角村:OTODASUは、中の音を日常生活程度の音量にすることを目標にしています。もっと壁を厚くして防音性能を高めることもできますが、そうすると防音室自体が重くなり、例えば賃貸物件だと床の凹みを気にする大家さんから設置許可が出づらいことがあります。
東京都立産業技術研究センターでの測定によると、OTODASUの遮音性能は-25デシベル(吸音材ありで測定)。
音の周波数によって防音のしやすさは変わり、ヴァイオリンやアコースティックギター、スピーカー音は比較的OTODASUで音量を下げやすい周波数となります。

EO:普段からよく作る曲の一つに四つ打ちのダンスミュージックがあります。リズムを作るバスドラムなどの低音域は、やはり防音しにくい音なのでしょうか。

角村:低音は、確かに防音室が不得意とする周波数です。また低音は「音」ではなく「振動」であったりもします。アパートにおける上の階の人の足音や、ドラム、ピアノのペダルなどは、防音対策ではなく防振対策を行うことで改善が見られる場合も多いです。例えば、防振マットで振動を抑えるだけでもかなり変わってくるはずです。

EO:OTODASUにぴったりの防振マットが出て、低音域も気兼ねなく音出しできるようになるととても嬉しいです!

角村:そうですよね。より低音域に対応できるよう開発をしていきたいと思っています。試作品ができたら是非EOさんに試していただきたいです!

開発者インタビュー~実際に使う人の声を絶えず聞きたい

――そもそも角村さんがOTODASUを作ろうと思ったきっかけを教えてください。

角村:自分自身で楽器を習い始めて、一人で楽器を練習できる場所の少なさに気づいたことがきっかけです。カラオケボックスだと音が外にダダ漏れで初心者のうちはちょっと恥ずかしく感じたり、かといって音楽スタジオもグループでなく一人だと予約が取りにくかったり。それなら自分たちで作ってしまおうと思い、ライブ・レッスン運営事業を行なっていたCoolish Musicで開発しました。はじめは自分のために作ったものでしたが、販売を開始したところ皆さんに支持してもらい、今に至ります。

――OTODASUは10万円台から購入可能で、現在販売されている防音室の中でもかなり手が届きやすい価格設定です。

角村:経費削減のため、少人数での運営や受注生産に努めています。在庫を持たないので、OTODASUⅡはご注文をいただいてから3〜5週間、OTODASUⅡ DEKAは5〜7週間、お待ちいただいています。皆様のご理解があってこの価格を実現できています。

――角村さんご自身のご経験や日頃の絶えぬ努力があってこそ、OTODASUの魅力が生まれているのですね。最後に、EOさんと角村さんからあらためて本日の感想をお願いいたします!

EO:普段の制作はヘッドフォンで行なっていますが、スピーカーだと音が立体的になり聴こえ方も大分変わってきます。ちょっとスピーカーで出してみたり、歌ってみたり、そうしたことが気兼ねなくできると、確実に制作の幅が広がってくると感じました。どんな住環境でも取り入れやすいOTODASUは、曲作りに関わる人間として非常に心強い存在だなと思います。

角村:独りよがりな製品にならないよう、実際に使う方の声には絶えず耳を傾けたいと思っています。今日はEOさんから様々な感想が聞けて本当に嬉しいです。より便利に、快適に使っていただけるよう、常に改善していきたいと思っています。とてもいい時間でした。

――本日はありがとうございました!

組立式防音室「OTODASU」

・お隣への音漏れが気になって思い切り楽器が弾けない
・ライブ配信中の歌が近所に漏れてしまっていた
・深夜にゲームをやっていて壁ドンされたことがある
そんなお悩みを解消すべく開発された、大掛かりな施工を必要としない組立式の防音室。
https://otodasu.jp/souon-taisaku/

左が「OTODASUⅡ」
ちなみに、右にあるのは「OTODASU KIDS」という、こどものリビングでの学習や楽器練習のために個室空間を創出できるタイプ

主なラインナップと価格

<OTODASUⅡ>外寸:高さ1,912 × 巾1,240 × 奥行1,240mm

<OTODASUⅡ DEKA>外寸:高さ1,940 × 巾1,740 × 奥行1,740mm

TEXT:KENDRIX Media 編集部
PHOTO:和田貴光

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