松浦航大 インタビュー ~変幻自在の七色ボイスと唯一無二のコンテンツ(前編)
大注目若手アーティストとしてYouTube・SNS・テレビなど各所で活躍する松浦航大さん。
前編では、YouTubeでの再生回数の伸ばし方や、特技のものまねの練習方法について教えていただきました。

プロフィール
松浦航大(まつうらこうだい)
生年月日:1993年10月22日
北海道出身 身長184cm
歌まね動画がSNSで話題となり数多くのテレビ番組に出演。
自身のYouTubeチャンネルでは総再生回数1億回を突破。
歌、ものまね、ボイスパーカッションと声の可能性を追求し、作詞・作曲も手掛ける。
小さい頃から歌が大好き
歌手の道に進まれるまでのエピソードをお伺いします。松浦さんが歌に目覚めたのはいつ頃でしょうか?
幼稚園の先生の日誌に「うたがだいすきなこうだいくん」とか書いてあったので、ずっと歌が好きだったんだと思いますね。小学生の時にORANGE RANGEとか、ポルノグラフィティとかを聴くようになりました。
松浦さんのものまねのレパートリーを見ると、同世代の流行りの曲だけでなく、少し上の世代に人気のあった曲もたくさん聞かれていたのかなと思いました。
高校生の時、最初はEXILEとかから入ったんですけど、EXILEの番組に安全地帯とかASKAさんとか久保田利伸さんが出演されていたのを見て、本当に歌唱力が高くて凄いボーカリストだなと思ったのがきっかけで、ちょっと上の世代の曲も聞くようになりました。
そこから本格的に歌を練習し始めるきっかけは何かありましたか。
もともとボイパがやりたかったんです。高校生の時に『ハモネプ』というアカペラの番組が好きで、その番組に出たくて、グループを組もうと声を掛けたんですけど、なかなかモチベーションが高い人が集まらなかったので、じゃあ自分が歌おうと思うようになりました。それと当時、今の三代目 J SOUL BROTHERSを決めるオーディションがあって、それを受けるために必死に練習をし始めたのがきっかけで、歌の練習をしまくる人生になりました。
当時はどのような方法で歌を練習されていましたか?
カラオケに行ったり、バイトしたお金でボイトレに通ったり。家ではパソコンの置いてある部屋に籠って、YouTubeを見てアーティストの研究をしながら、ずっと歌ってましたね。歌ってない時間の方が少ないんじゃないかっていうくらい。
YouTubeでバズるまで
音楽活動を始められた頃は、今のようなSNS全盛期より少し前の時期のようですが、当時はどのような形で音楽を発信されていましたか?
当時は、とりあえずライブをやってました。YouTubeをしている人がいるなというのを横目に見ながら、いろんな音楽活動を転々としてましたけど、当時は周りにモチベーションが自分と釣り合う人が居なくて、続かなかったですね。チームで動くためのノウハウというか、正解を知らないから、ただがむしゃらにライブをやっていたという感じです。
そこから少しずつ自分とモチベーションの釣り合う人が増えてきて。人間関係が変わると、使う言葉も変わるというか、SNSはこう使えばいいんだとか、いろんな知識がパズルのように繋がって行きました。
そういった中で、特に知名度アップのきっかけとなったのは、YouTubeで公開されたものまねだったかと思います。これは狙いどおりのヒットだったのでしょうか?
そうですね。偶然じゃなくて狙ったものを成功させる、狙った的に当てるというのが常にポイントでした。大事なのは成功することじゃなくて、狙ってるかどうかが大事だなって当時から思ってました。
一人のアーティストとして、ものまねで名前を売るのは、ちょっとリスクだなと思った時期もあったんです。ものまねのイメージも付いちゃうし。でも、自分の特技を振り返ったとき、個性じゃなくて柔軟性、固い方じゃなくて柔らかい方が得意なのかなと思うようになって、ものまねにチャレンジするようになりました。一気にバズるという現象を起こさないといけないという使命感もありました。『ひまわりの約束』の動画は、高校生の頃に、『ハモネプ』で、もしプロ歌手がドリームチームを組んだらどうなるのかを想像していたことを思い出して、それをものまねで実現したら面白いんじゃないかなと思って作りました。
ディレクション・撮影・編集はどのような体制ですか?
最近はたまに外注したりもするんですが、歌動画は基本的に今も自分で編集しています。歌動画の編集って意外と簡単なんですよ。自分でアイディアを考えるのも大事ですね。『Lemon』の動画でコブクロの黒田さんがフレームアウトするのとかも自分のアイディアです。
再生回数を伸ばすための戦略は?
YouTubeやTikTokで再生回数を伸ばすための戦略はありますか?
いっぱいあるんですけど・・・
まずコンテンツ価値が高いこと。そのためには、ありそうでないものが大事で、例えばクロスシンキングといって、掛け算のアイディアが有効です。僕の場合は「ものまね×アカペラ」で、ほかにやっている人が居なかったからバズったんだと思います。良い化学反応が起こるような掛け算を思いつくことができれば、価値の高いコンテンツが作れると思います。
再生回数については、アルゴリズムの研究が大事です。サイトごとに色々違いがあるのですが、YouTubeはサムネとタイトルが命、TikTokは最初の2秒が大事ですよね。
動画の構成に関しては、僕は最初から最後までフルで見てもらえるような動画作りを心掛けています。
尺は長くても良いのでしょうか?
YouTubeの場合はむしろ長い動画の方が良くて、最後まで見てもらうために飽きさせない工夫を沢山入れるんです。例えば、ものまねだったら次のレパートリーにうまく繋ぐとか。企画の動画だったら、起承転結の「起」の中にさらに起承転結を入れるとか、展開を細かめに入れることを意識してますね。
変幻自在の七色ボイスどうやって出してるの?
ものまねはどうやって習得されたのでしょうか?
僕の場合はボイストレーニングの賜物ですね。
“変幻自在の七色ボイス”といわれていますが、一般的なボイストレーニングの一環として「ものまねする」というメニューがあるのでしょうか?
普通はボイストレーニングの一環でものまねはやらないと思います(笑)。僕のものまねの練習は、武井壮さんの理論と似ていると思います。武井壮さんは、野球とかサッカーとか、特定のスポーツの練習をするのではなくて、自分の体を思ったとおりに動かせるように、日頃から筋肉や神経のトレーニングを心掛けているそうです。すると、上手いスポーツ選手を見たら、そのとおりの動きができるようになるんだそうです。
ボイトレもそれと一緒で、喉ぼとけを上げたり下げたりとか、あと輪状甲状筋と甲状披裂筋という筋肉があるんですけど、そのバランスの調整方法だとか、可動域を上げておくことによって、聴いたものをそのとおりに再現できるようになります。
日頃の地道な基礎トレーニングの成果なのですね。
そうなんです。発声は基礎が一番大事です。ものまねができるということは、その人と同じ歌唱力があるということなので、ボイトレは大事です。そういう意味では、ものまねをするのは歌を歌う訓練として手っ取り早い練習方法なのかもしれません。
あとは自分の声を録音して聴いての繰り返しで。練習自体はシンプルなんですよ。
それと、日頃から歌が大好きでたくさん聴いてるから、音だけで口の形がわかるようになります。みなさんも「あいうえお」は音で聞くと口の形がわかるじゃないですか。それがもっと細かくわかるようになります。同じアでもオに近いのかエに近いのか。
似せることに関していうと、実は声はそんなに似てなくていいんです。どちらかというと、歌い方が8割です。歌い方さえ合ってれば、息が多いか少ないか、喉頭は上がってるか下がってるか、口の形はどうなってるか、細かいビブラートとか、子音の発声の仕方がどうなっているか。この材料をうまく組み合わせるイメージです。
ずいぶん理論的なのですね。ものまねが難しいのは、他人が聴く声と自分の頭で響いている声が違うというのも大きいのかなと思うのですが、ものまねをされているとき、松浦さんの頭の中でも、その人の声が鳴っているのでしょうか。
頭の中では、その人の声にはなっていないです。でも、骨伝導については、録音したものを聞き続けることによって、ギャップが無くなってくるというのはありますよ。僕は、自分の声を録音したものを聞いても、変に聞こえることはもう完全にないです。自分の中を通った声と外部からの声の両方を分かっているので、おそらくリンクしてるんだと思います。
新曲『カミカザリ』の誕生エピソード
新曲『カミカザリ』について、企画を考えた経緯やエピソードなどを教えてください。
米津さんの新曲をものまねで勝手に作るみたいな企画が結構はねたので「フル作ろう」となりました。企画からはじまったので、遊びながら楽しく曲を作れるんです。イントロにボイパ入れたり、時計の音入れたりとか、すごい楽しく作りました。
「カミカザリ」配信|https://kodaimatsuura.lnk.to/kamikazari
検証企画を始めた時から「人気曲をフル音源にする」作戦だったのですか?
バズったものをフルにしようっていう作戦でした。でも、次からは先にフルを作っておく作戦に変えるつもりです。『カミカザリ』は、企画をやってからリリースまで時間かかっちゃって。フルで作ってからTikTok企画に当てはめちゃえば、抜群に効果を発揮するんじゃないかって思ってます。
TikTokのフォロワーさんや視聴者さんは本当にこの企画自体楽しみにしてくれてるし、いい曲になるんですよね。自分の作詞作曲の部分に関してもっとみんなに認知してもらえたら嬉しいなと思いつつ今やっています。
『カミカザリ』は歌詞もすごい遊びました。遊びながら作ったメロと妖艶な女性に遊ばれてることも楽しんでいる様子を描いた歌詞に着目して聞いてください。エロ爽やかな曲だと思っています。
後編 につづく。
後編では、コンテンツ制作の裏側やセルフプロデュースの考え方に迫ります!
TEXT:KENDRIX Media 編集部





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