憧れの音楽クリエイターは普段どんな音楽を聴いているのか。
そもそもどうやって聴く音楽をチョイスしているのか。

そんな好奇心を満たすべく、音楽クリエイターの方に音楽メディアの購入資金3万円をご提供して、CD・レコードショップでお買い物をされる様子を観察させていただき、実際に購入された音楽メディアをご紹介して、購入の背景もお聴きする、というのがこの企画です。

ご協力いただいた店舗
タワーレコード渋谷店｜ 住所：東京都渋谷区神南1-22-14

2022年4月19日、朝9時50分、タワーレコード渋谷店に着いた。
あの神前暁さんが間もなくここに現れる。

アニメなどの制作サイドから出されるどんなオーダーでも、常に120％以上の的確なアンサーを作品で打ち返す。

そのアンサーはポップスやアイドル風、バラードやピアノ曲はもちろんのこと、ギターロック、パンク、スカ、テクノにディスコにヒップホップ、さらにはフレンチポップスに昭和歌謡、ロシア民謡などなど。ジャンルレスなのにどんなジャンルでもクオリティが極めて高く、それでいてキャッチー。

2020年に発売された作曲家デビュー20周年記念CD『神前 暁 20th Anniversary Selected Works “DAWN”』の完全生産限定盤に附属のブックレットに寄せられた各界関係者のコメントでは「神」「天才」「スーパー」といった表現が随所で登場する。

そんな神前さんが、どんな立ち回りをして、どんな音楽メディアを購入されるのか。

これほど興味深いことはない。
今日のできごとを記録して伝える役目の責任は極めて重大だ。

果たして、神前さんは集合時間の5分前に現れた。

タワーレコード渋谷店の開店時刻は11時だが、この日は10時から、今回の取材のために売り場を特別に解放してくださったのだ。

タワーレコード株式会社広報部の寺浦さんに先導されて、店内に足を踏み入れたのが10時ちょうどだった。

タワーレコード渋谷店の売り場は7フロアある（8Fは展示会専用スペース）。

1Fは注目の新譜を取り揃えた、いわばショーケース的なフロアであり、2Fはカフェと物販がメインのPOP UPスペースとなっている。
このため、お買い物は3Fからスタートとなった。

3Fは「J-POP、J-INDIES、J-HIPHOP、ビジュアルロック」などのフロアである。

ここで、神前さんに本日描かれているプランをお聴きした。

「いくつか買おうと思っているCDがあります。」
「あとは、店員さんが書かれたポップを読んで、試聴もして良さそうだったものは買ってみたいと思います。」
「実はCDショップで買い物するのは数年ぶり。以前はそうやって未知の音楽に出会う、ということをよくやっていたので、今日は久しぶりにその楽しみを体験したい。」

企画の意図に合致した完璧なプランとコメント、さすがである。
3万円のボックスセットを一点だけ購入して即終了、ということはなさそうだ。

そんな神前さん、3FのJ-POPコーナーで、早々に2点、恐らくあらかじめリストアップされていたと思われるCDをピック。
さらに試聴してからもう1点をピックして4Fへ。

4Fは「アニメ、ジャニーズ、アイドル」などのフロア。
神前さん、思わず「おお！」と声を上げられる。
アイドル、ボーカロイド・歌い手コーナーを経てアニメコーナーに入ると、「あ、〇〇さん」など、お知り合いのCDに反応。
「あまりにも馴染みのある世界なので収拾が付かなさそう」ということで、一旦何もピックせずに5Fへ移動することに。

5Fは「K-POP」のフロア。
フロア移動中「K-POPだけで1フロアということに驚愕。入門編的なものをぜひ買いたい」とおっしゃっていたがそのとおり、試聴もしたうえで、タワーレコード寺浦さんも「間違いない」と太鼓判を押す1点をピックして6Fへ。

6Fは「アナログレコード」と「ロック、ヘヴィロック、ヘヴィメタル」のフロア。
「自身の手掛けた作品でもアナログレコードになっているタイトルがあり、そのレコードは持っているがレコードプレイヤーがない」という神前さん。
大量のアナログレコードを前にかなりテンションが上がる。

レコードプレイヤーにも興味津々

「アナログレコードは実家にはあったが自分で音楽ソフトを買い始めたのはCDから、それだけに憧れがある。まずはちゃんとしたレコードプレイヤーを買いたい。」
ということで、今回はアナログレコードは買わずに7Fへ移動。

7Fは「SOUL、HIPHOP、CLUB、JAZZ、CLASSIC」などのフロア。
6Fとともに、音楽好きな大人向けの雰囲気が漂い、神前さんも取材陣も「ここが一番馴染みがあって落ち着く」と意見が合致する。

7Fでは、お目当てだったと思われるCDを2点ピックしたうえで、さらに店員さんのポップに導かれるように試聴、という流れで2点をピック。

ここまでで8点、約25,000円となったところで、4Fに戻られる。

「馴染みがありすぎて悩ましい」という4Fだったが、何とか2点をピック。
金額調整のため、3Fでピックしていた1点をやむなく諦めたうえで、最後に6Fと7Fで1点ずつ追加。

合計11点、金額も30,000円を少しだけ超過したところで、約2時間のお買い物が終了。

あの神前さんが、少し悩んだりしながらフロアを行ったり来たりされるのを後ろから付いていって観察できる、という貴重な時間はあっという間に終了してしまった。

※タワレコチョイス対象商品：対象商品を2点まとめ買いで10％OFF、3点まとめ買いで20％OFF（今回は3点のため対象商品は20％OFFとなっている。）

後編 は、お買い物直後に実施した神前暁さんへのインタビューの模様をお届けします。

TEXT：KENDRIX Media 編集部

※本企画は、株式会社本の雑誌社『本の雑誌』で連載されている「図書カード三万円使い放題！」というコーナーの音楽メディア版が観たい、という発想から企画したものです。
　本企画の実施にあたり、株式会社本の雑誌社様にご相談差し上げたところ、二つ返事でご快諾をいただきました。あらためまして、ここに感謝申し上げます。
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