音楽メディア3万円お買い物!!
第1回:神前暁さん(後編:インタビュー)
憧れの音楽クリエイターは普段どんな音楽を聴いているのか。
そもそもどうやって聴く音楽をチョイスしているのか。
そんな好奇心を満たすべく、音楽クリエイターの方に音楽メディアの購入資金3万円をご提供して、CD・レコードショップでお買い物をされる様子を観察させていただき、実際に購入された音楽メディアをご紹介して、購入の背景もお聴きする、というのがこの企画です。
第1回ゲストは神前暁さん
(プロフィール)
神前暁(こうさき・さとる)
大阪府出身。
作曲家・編曲家
株式会社ナムコ(現:バンダイナムコスタジオ)を経て、2005年から有限会社モナカに所属。
2006年に『涼宮ハルヒの憂鬱』で初めてTVアニメの劇伴と挿入歌を担当。
2007年に劇伴と主題歌を担当した『らき☆すた』のOP主題歌『もってけ!セーラーふく』は大ヒットするだけでなく、その特異なサウンドプロダクションが音楽業界に衝撃を与える。
その後も『化物語』をはじめとする『<物語>シリーズ』など、多くのTVアニメ、劇場版アニメの劇伴や主題歌・挿入歌を手掛ける。
さらにゲーム音楽や声優・アイドルへの楽曲提供も多数。
ご協力いただいた店舗
タワーレコード渋谷店|住所:東京都渋谷区神南1-22-14
神前暁さんお買い上げリスト
お買い物の様子は 前編 をご参照ください。
タイトル | アーティスト | レーベル |
価格 |
|
1 | LOVE ALL SERVE ALL<通常盤>[CD] | 藤井 風 | ユニバーサルミュージック | ¥3,300 |
2 | 一途/逆夢<初回生産限定盤>[CD+Blu-ray Disc] | King Gnu | Ariola | ¥4,950 |
3 | BTS, THE BEST<通常盤・初回プレス>[CD] | BTS | ユニバーサルミュージック | ¥2,376※ |
4 | ナーチャー[CD] | Porter Robinson | Sony Music Japan International | ¥1,936※ |
5 | オリン-ア・リングア・ドス・アンジョス[CD] | Orquestra Afrosinfonica | THINK! RECORDS | ¥2,420 |
6 | Post-Svalbard[CD] | Niklas Paschburg | 1magine Label | ¥2,860 |
7 | フロイデ[CD] | 金子三勇士 | ユニバーサルミュージック | ¥3,300 |
8 | Stand by…MUSIC!![CD] | ANISAMA 2018 “OK!” | TOWER RECORDS | ¥825 |
9 | scene<初回生産限定盤>[CD+Blu-ray Disc] | 澤野弘之 | SACRA MUSIC | ¥4,290 |
10 | Cowboy Bebop (Soundtrack from the Netflix Series) -Extended[CD] | SEATBELTS | SUNRISE Music Label | ¥3,278 |
11 | サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド<通常盤>[CD] | The Beatles | ユニバーサルミュージック | ¥2,288※ |
合計 ¥31,823 |
※タワレコチョイス対象商品:対象商品を2点まとめ買いで10%OFF、3点まとめ買いで20%OFF(今回は3点のため対象商品は20%OFFとなっている。)
神前暁さんインタビュー
ボカロ、アニメ、ゲームという文化を経てきた人達が作り手になって黄金期を迎えている。
おつかれさまでした。
本日のお買い物を振り返っていきたいと思います。
まず3Fで手に取られたのが藤井風さんのアルバム『LOVE ALL SERVE ALL』でした。
わりと最近出たアルバムですよね。
前作も持っていたので、今日買おうと思っていました。
藤井風さんは、去年の紅白で話題をかっさらっていかれて認知も上がってますけど、ものすごいスーパースターですよね。ピアノも巧いし、歌も巧い。ルックスもかっこいいし、曲もかっこいい。
最近の邦楽って、個人的には90年代に匹敵する黄金期が来ているな、とこの数年ずっと感じています。その勢いを象徴する一人かなと思っています。King Gnuもそうなんですけど。
King Gnuは試聴もされていました。
最近タイアップ付きのシングルがいくつか出ていて、どれも試聴機に入っていたので、「これもある、これもある、どれ買おうかな」と思ったんですけど、このシングル(『一途/逆夢』<初回生産限定盤>)は特典でライブDVDが付いている、となって。
演奏力も高いバンドなので、映像で観てみたいなと。
King Gnu『一途/逆夢』<初回生産限定盤>(Ariola)
同じフロアでヨルシカさんの音源もピックされていたのですが、今回は金額の上限との兼ね合いで断念ということに。
いわゆるボカロ、ニコニコ、歌い手世代の一人として声も曲もすごく好きですね。
米津玄師さんもそうですけど、ボカロ、アニメ、ゲームという文化を経てきた人達が作り手になってまさに黄金期を迎えている。
そういう時代の流れを体感する日が来ようとは、という気がします。
そこには神前さんも多大なる影響を与えていますね。
少しだけ、少しだけですね。
与えられていたら良いな、とは思います。
モナカの後輩の所属作家さんにも同じようなことを感じられますか。
身近なので、そんなに「すごいな!」という感じではないですが(笑)。
自分のやってきたことを聴いて育ってきた人達と一緒にやれているのは刺激になりますね。
年の功で教えられることもあるし、彼らから教えられることもあります。
2018年のインタビューで、元アシスタントである田中秀和さんや広川恵一さんから「最近触発された」と語られていました。
ありましたっけ?
ありました!
そっか、そっか(笑)。
いや、すごいですよ、彼らは。
たとえば広川くんだったら、もともとアーティスト的なこだわりがすごく強くて、そこをいかに商業的にきちんとさせるか、という部分をぼくが叩きこんだので。
もともと持っている彼の良さが開花してきたんだと思います。
シングル盤を出すならぜひインストバージョンを入れてほしい
それから4Fのアイドル、アニメなどのフロアで。
まず、King & PrinceのCDをチェックしていたのが印象的でした。
キンプリ、好きなんですよ。
ジャニーズのなかでも正統派ボーカルユニット枠かな、と。
王道感、王子様感が凄くあって、曲のクオリティが高い。同業者としておこがましいんですけど、ちょっとこれは凄いな、という。
昨年の映画の主題歌で『恋降る月夜に君想ふ』という曲があって、このアレンジがとんでもない。手掛けているのはJazzin’ parkの栗原暁さんとha-jさんでした。
ただ、音源を買うかどうか、というのはまた別の観点もありますよね。
えっとですね。
インストが入っていたら買ってました。
シングルだったらカラオケ入っているかな、と思って見たんですけど、歌もの3曲とか4曲収録のバージョン違いだったので。ああ、カラオケないかー、と。
できることならDAWのプロジェクトファイルやステムで聴きたい、ということがあるのでしょうか。
まさにそれですね。
普通の聴き方ではないと思うのですが、同業者としてはちょっとこれは影響を受けるところが沢山あるだろうなと。クレジットも見たいですし。
インストって、入っていて損することってないと思うんですけどね。
マスタリングが1曲増えるくらいで。
シングルにはインストをもっと入れてほしいです。何か大人の事情があるんですかね(笑)。
4Fでは、モナカが音楽を担当されているゲームのグッズを手に取られたり、という場面もありました。
あはは。あのタイトルはおかげさまで海外からの評判もすごく良いそうで。
現在放映中のTVアニメ『阿波連さんははかれない』でも神前さんが劇伴を担当されています(モナカのオリバー・グッドさん、井上馨太さんと共同)。
第3話でついに神前さんの手掛ける特殊エンディング主題歌『AHAREN HEART』が登場しました。
『AHAREN HEART』のYouTube公式動画にも海外からのコメントが沢山あります。
製作が中国のbilibiliということもあるかもしれませんね。
日本のアニメって、我々がハリウッドに対して憧れとかリスペクトを持ったのと同様に、中国の方々は日本のクリエイターにそういう感覚を持ってくださっていて。
あの外タレにお願いしたい、みたいな感覚で、私にもお仕事をいただいたりするので、すごくありがたいです。
bilibiliが製作するアニメでのお仕事は今回が初めてでしょうか。
そうですね。
違いがあるとすればスケジュールが全体的に前倒し、早め早めに動く、というところはあります。
自分はクリエイターとしては、お尻を叩かれないとやらないタイプなので。
締め切りはあった方が良いです(笑)。
作曲家デビュー20周年記念CD『神前 暁 20th Anniversary Selected Works “DAWN”』の完全生産限定盤に附属のブックレットに収録されている関係者の座談会でも、かなり追い込まれるエピソードが語られていて意外でした。
もう常に、締め切りへの泣き言を言っています(笑)。
そういう仕事なんですよね。
ガントチャートを使って、きっちり進行管理されていそうなイメージです。
ぜんっぜん。それは会社のスタッフがキッチリやってくれています。
ただ、皆さん一様に、神前さんの最後の追い上げが凄まじい、と。
いやもう、それだけでなんとかなっているようなものでして…(笑)。
CDショップの醍醐味は、全く知らない音楽に出会えること
5FのK-POPフロアではBTSの『BTS、THE BEST』を選ばれました。
ワンフロアが全てK-POPということに本当に衝撃を受けましたね。
恥ずかしながらK-POPをきちんと聴いたことがなかったので、入門編として何か、ということで、タワーレコードの寺浦さんにもオススメいただいて。
K-POPといって良いか分からないですけど、NiziUとか、EDM的なアイドルポップというのは意識はしているのですが、アーティストや作品として聴く機会はなかったです。
6Fのアナログコーナーではかなり盛り上がりました。
私もここ数年でアナログを出させていただく機会があって。映画『傷物語』とかTVアニメ『BEASTARS』のサントラとか。ただプレイヤーを持っていないんですよ。
でもアナログコーナーはすごくアガりますね。
僕自身はちょうどレコードからCDへの過渡期の世代だったのですが、昔憧れていたレコード屋さんのイメージが重なりました。
アナログの中古盤も見たんですけど、ラテンとかのWORLDもので、セルジオ・メンデスとか欲しかったですね。
ジャズ、ボッサなんかは、やはりアナログの音がイメージとしてありますね。
まずはアナログを聴くことができる環境を整えたいなと思います。
7Fでは、CLUB MUSICからPorter Robinsonさん、CLASSICから金子三勇士さん、さらにOrquestra Afrosinfonica、Niklas Paschburgさんの作品を選ばれました。
Orquestra Afrosinfonica(『オリン-ア・リングア・ドス・アンジョス』)は試聴機に入っていて、バイヤーさんのオススメというポップがあったので聴いてみたら、1曲目の出だしから「音がカッコいい」となって買っちゃいましたね。
Orquestra Afrosinfonica『オリン-ア・リングア・ドス・アンジョス』(THINK! RECORDS)
今回、結構試聴をされてましたね。
CDショップの醍醐味ってそこかなと。
自分が知らない、手に取らないものをオススメしてもらえる楽しみ、というのがあって。
学生時代に毎週そうやって、月に20枚くらいCDを買っていたんですけど、そんな時代を思い出しました。
外れたらどうしよう、というドキドキもあるんですけど、試聴して買ってみて、パッケージを開ける時のワクワクを久しぶりに味わえそうです。
Niklas Paschburgさん『Post-Svalbard』は。
エレクトロニック、ポストクラシカルですね。
すごく好きなジャンルで、最近劇伴系でポストクラシカルって非常に盛んなんです。たとえばヒドゥル・グドナドッティルが担当した『ジョーカー』とか。
この方のことは知らなかったのですがジャケットが気になったのと紹介文を見て試聴したら「お、かっこいい」と。ひんやりした質感のピアノエレクトロですね。
Niklas Paschburg『Post-Svalbard』(1magine Label)
Orquestra AfrosinfonicaとNiklas Paschburgさんは、これまで知らなかったけど新しい出会い、という枠でしょうか。
そうですね。初めて聴くのはこの二組ですね。
ダンスミュージックのなかにも「リズムの要素が強いポップミュージック」として惹かれるものがある
Porter Robinsonさんのアルバム『ナーチャー』は、すぐに手に取られていました。
もうリリースされてから一年経ってしまっていますが、ずっと欲しいなと思っていました。
ジャンルとしてはEDMですが、踊ることに特化したEDMではなく、リスニング向けでもある構築美の方で。メロディーはすごくキャッチーですね。
日本のアニメやゲームが大好き、という20代のクリエイターです。
そうですね、アニメのMVも作ってますし。
実はぼくはそういう経緯を知らずにたまたま耳にしたのですが、EDMやダンスミュージックが好きというよりは、ポップミュージックの一環としてリズムの要素が強いもの、という意識で聴いているので、そういうところがツボにはまりましたね。
Porter Robinson『ナーチャー』(Sony Music Japan International)
あまりフォローしていないジャンルでも、ちゃんとツボにはまるものに出会うきっかけというのは、今はどんな流れが多いでしょうか。
YouTubeとかSpotifyのオススメで出てきて、ということが多いです。
あれは便利ですね。
歌心のあるダンスミュージックということではUnderworldとか昔からずっと好きで。
EDMの中でもそういうポップなものに惹かれますね。
一転して、金子三勇士さんはクラシックです。
妻が最近クラシックにハマっていて、家でずっとピアノ曲を流してるんですよ。
そのなかで金子三勇士さんが弾かれたリストの『ラ・カンパネラ』があって、「あ、すごいな」と。
音の濁らなさというか、澄んだ音色で技術が高くて、「この人誰?」と聞いたら金子三勇士さんだと分かって。
調べたらちょうど新譜(『フロイデ』)が出たばかりだったので買いました。
尊敬する劇伴作家のCDと特別な思い入れのある自身のCD
そのあと4Fへ戻り、澤野弘之さんのアルバム『scene』と、神前さんが作曲されたANISAMA 2018 “OK!”のシングル『Stand by…MUSIC!!』を、さらに7Fのサントラコーナーで『Cowboy Bebop』のNetflix実写版のサントラを選ばれました。
澤野さんはドラマが最初ですけどほぼ同時期に劇伴をやり始めて、「かっこいいアニメ劇伴」という、一つのジャンルと言って良いスタイルを作り上げた方ですよね。
澤野さんの手掛けた作品のピアノセルフカバーアルバムを買いました。
澤野弘之『scene』<初回生産限定盤>(SACRA MUSIC)
菅野よう子さんは、神前さんにとってのセカンドインパクトだと以前から公言されています。
『マクロスプラス』に衝撃を受けました。ちなみにファーストインパクトは田中公平さんの『トップをねらえ!』ですね。
Netflixの『Cowboy Bebop』はまだ観れていないのですが、このサントラも間違いないだろうと。楽しみです。
SEATBELTS『Cowboy Bebop (Soundtrack from the Netflix Series) -Extended』(SUNRISE Music Label)
変なことを聴きますが、神前さんが音楽を手掛けたアニメ作品を実写化するので音楽もリメイクしてください、みたいなお話があったらいかがですか。
ぼくのはなかなかないと思いますけどね(笑)。
え、『化物語』ですか?
確かに『化物語』は、巨大ロボットが出てくることはないですし、化け物も直接出てくるわけではなく、会話劇主体なので実写化しても面白いかもしれないですね。
ぜひそういうお話をいただきたいです(笑)。
『化物語』はオープニング曲を5曲も作ったり、ものすごく大変だったと思いますが。
大変でしたけど、楽しかったですし、作家として量産出来る時に量産させていただいて、それでヒット作に関われた、というのはすごくラッキーでしたね。
渡辺宙明先生とか田中公平先生とか、ずっとそれを続けている超人もいらっしゃいますけど(笑)、なかなかそんな風には続けられないので。
逆に若いうちの苦労は買ってでもするべき、とは思いますね。
ANISAMA 2018 “OK!”のシングル『Stand by…MUSIC!!』は、今回唯一、ご自身の作品が収録された音源です。
これは全然買うつもりはなかったのですが、見かけたら買わざるを得ないなと。
基本的にサンプル盤は手元にあるんですが、この子は買っておかないとダメだと。
Animelo Summer Live 2018のテーマ曲なので今後大々的に売られるということはないでしょうし、タワーレコードさんで出させてもらったのが、今日たまたまあったので、連れて帰ることにしました(笑)。
イベントを象徴するテーマ曲なんですけど、そこにぼくのエゴをぶつけてくれと言われている気がしたので、思い切りぶつけさせてもらったという。
非常に思い入れが強い楽曲ですね。
ANISAMA 2018 “OK!”『Stand by…MUSIC!!』(TOWER RECORDS)
「音楽を堀る」ということとクレジット情報の大切さ
最後の一枚はThe Beatlesのアルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』でした。
これはもともと大好きで、嫌いな人もいないんじゃないかと思うくらい。
世界で一番有名なアルバムかもしれないのですが、5年前にデジタルリミックス盤が出たということを、当時話だけ聞いていたのを不意に思い出して、今日買ってしまいました。
神前さんの音楽遍歴のなかで、The Beatlesに出会ったのはいつ頃ですか。
親が聴いていたので、子供の頃から身近にあったのですが、自発的に聴いたのはナムコというゲーム会社に入って、仕事として音楽を始めたあとですね。
「これは勉強しなきゃダメだな」となって、いろいろ遡って聴いていった時にルーツとして再発見しました。
学生時代は音楽を沢山聴いていたものの、体系的にルーツを辿るということはされなかったというお話をお聞きしました。
ギターキッズでもなく、カバーをやらない活動でしたし、名曲・名盤を掘る、という行為に興味を感じていなくて。
どちらかと言うと、聴いてもいないのに作る方に意識が行ったり、ちょっと前衛的な音楽を聴いていましたね。
渋谷系も聴かれていたそうですが。
渋谷系も好きでしたね。
渋谷系って要はThe Beatlesがあったから成立している音楽ともいえるので、そこを掘っていけば行き当たるはずなんですが、学生時代は掘らなかったですね。
今の音楽の聴きかたで、お仕事のために聴くことと、趣味で聴くことは、意識として線引きされていたりするのでしょうか。
オーダーのあったジャンルのカッコよさ、美味しさを理解していないとピントのボケた曲になってしまうので、リファレンスとして聴くことは当然します。
ジャンルのツボを外してしまうのはすごくカッコ悪いしもったいないという感覚がありますね。
ですので、打ち返すために聴いているところももちろんありますが、自分が好きで聴いていて、それが仕事に活かされているところもあるので、線引きするというのは難しいですね。
20年以上、音楽でしか仕事をしたことがないので、音楽と生活は分けられないですし、仕事と趣味という線引きもないですね。
最後に、今日のお買い物を振り返っていかがでしたか。
ぼく自身、CDショップに来て買う、という経験がもう何年ぶりか、という感じだったんですけど、パッケージを買うという楽しみ、ワクワク感はやっぱり代えがたいものがありますね。
インターネットでは欲しいものしか買わないので、今日みたいにたまたま手に取ってしまう、ということはあらためて楽しかったです。
あとはやっぱりパッケージだとクレジットなどの情報がしっかり得られる、というのも嬉しいです。
配信は著作権の収入的にもしっかりした柱になっていてすごくありがたいのですが、音楽がデジタル化されることでリスナーの得られる情報がアナログ時代よりも減ってしまっている、というのは本当におかしいと思います。
なんなら作曲者ですら、Wikipediaで調べないと分からないという状況なので、せめてMP3のタグ情報くらいは配信でも参照できるようにしてほしいですね。
作り手だから、他の作品のクレジットも気になる、という面はありますし、著作隣接権が適切に管理されるためにもクレジット情報がすごく大切だ、ということを理解しているから、という面も確かにあると思います。
ただ、先ほど音楽を掘る、というお話もしましたが、作曲家や参加ミュージシャンで音源を辿っていくという楽しみ方もあると思いますので、配信でもパッケージでも同じレベルで、リスナーがクレジット情報にアクセスできるようにしてほしいと思います。
TEXT:KENDRIX Media 編集部
※本企画は、株式会社本の雑誌社『本の雑誌』で連載されている「図書カード三万円使い放題!」というコーナーの音楽メディア版が観たい、という発想から企画したものです。
本企画の実施にあたり、株式会社本の雑誌社様にご相談差し上げたところ、二つ返事でご快諾をいただきました。あらためまして、ここに感謝申し上げます。
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