Mayu Wakisaka インタビュー
~世界で活躍する秘訣と著作権についての考察(前編)
TWICE、SixTONES、NiziU etc…
世界で活躍するクリエイターMayu Wakisakaの今
世界を席巻するK-POPの多くは、トラックメーカー、トップライナー、アレンジャーなど、細かく役割分担されたクリエイターが各々の特技や専門性を持ち寄る体制でプロデュースされています。
そんな「コライト」と呼ばれる創作スタイルの世界で、海外の作家とともにヒット曲を生み出し続けている Mayu Wakisaka さんに、近況やこれまでの経歴、印税や著作権に関すること、若手クリエイターへのアドバイスなどをお聴きしました。
(プロフィール)
Mayu Wakisaka
大阪府出身。
作詞作曲家、シンガー、ボーカルディレクターなど幅広く活躍。
TWICE、SixTONES、NiziUなどに楽曲提供し、自らもシンガーソングライターとして活躍。時代やアーティストにフィットした楽曲は、国内外で賞を受賞するなど、日本に留まらず世界からも高い評価を得ている。
LAの22時、滞在中のホテルからリモートでお話を伺いました。
忙しい一日をやっと終えたところにもかかわらず、素敵な、でも少し眠そうな笑顔でご挨拶くださり、途端に魅了されたところでインタビュー開始!
お仕事でLAに滞在中とのことですが、LAでの日常を教えてください。
色々やっているのですが、まず、
普段一緒にK-POPを書いたりしているDavid Amberとの企画を進めています。
彼は80年代のシティポップが大好きで、Mayuに歌ってほしいと、最近はほぼデュオ状態です。
彼と自主制作していた楽曲をディスクユニオン傘下のKissing Fish Recordsが見つけてくれて、アナログ盤を出したいと声をかけてくれました。
数字が全てのこの世界において、日本のレーベルが我々の素性などを知らずに、新しい音楽として開拓してくれたのは本当にうれしいです。
LA発のシティポップ!です。
David Amber(写真右)
LA在住の作曲家/プロデューサー。
CM・テレビ番組等の音楽を制作し、これまで50件以上の番組とCM音楽を手がける。
一方で、TWICEの『Heart Shaker』や『Yes or Yes』をはじめ、K-POPにも楽曲を提供。
自身のユニットPalmy ChillerとMayu Wakisakaとのコラボ楽曲『Risky Biz』7インチ盤が2022年5月25日から絶賛発売中!!
Palmy Chiller『Risky Biz feat. Mayu Wakisaka / Risky Biz Japanese Version (7″)』(Kissing Fish Records)
あとは、ミュージックライブラリー(テレビや映画などのBGMとして制作される楽曲)に、楽曲を書き下ろしています。日本的な香りのする楽曲、というリクエストに応えて作曲してます。
それ以外にも曲も書き溜めていますよ。
LAは自由な雰囲気が心地よくて、曲が作りやすいです。
気を使わなくても書けるような。仕事なんだけど遊んでるような。
それと…、この話はまだ解禁になっていないので、詳しくは言えないのですが、映画音楽の訳詞の仕事もしています。
憧れのハリウッド俳優が、自分の訳詞した曲をバックに人を殴ってるぜ!ってワクワクしてます。7月頃公開予定です、是非観てくださいね。
ハリウッド映画の音楽!
以前も、TWICEの『KNOCK KNOCK』がウィル・スミス主演の映画『スパイズ・イン・ディスガイズ』の劇中歌に使われたことがありました。
ハリウッド映画が大好きで、いつかは自分の曲が使われたいという野望を持っていたので、その時もうれしかったです。
LAのスタジオの機材や環境は、スゴイのでしょうか?
今作っている楽曲は、そんなに大がかりな機材は必要としていないので、スタジオではラフなスケッチを作って、日本に戻ってから録音することもあります。
滞在中のホテルで歌入れしちゃうこともありますよ。
現在は国内外で活躍する作詞家、作曲家、シンガーと、生粋の音楽家ですが、京都大学法学部卒、ロースクール進学等、驚きの経歴をお持ちです。
中学生の時、カラオケ選手権みたいなものに出て大阪府代表となり、東京で行われた全国大会に出場したんです。
ただで東京に行けるー!とうれしかったのを覚えています。
高校ではバンド活動に明け暮れ、進路を、音楽の専門学校?大学?と迷った時、高校の先輩である辰巳琢郎さんやロザンの宇治原史規さんがテレビで「京大は出席取れへんから」と言っているのを聞いたんです。
それなら自由に音楽活動ができるなと京都大学を目指しました。
法学部にしたのは、自分の得意だった2教科(国語・英語)の配点が高いということが決め手でした。
できるだけ長く音楽活動したかったので、すぐに司法試験の塾に通い出す同じ法学部の子らはダメだと、6年制の医学部のバンドに入り、神戸のコンテストでグランプリを取ったりしてました。
でも、やっぱりみんな医者になっちゃって…。
さぁどうしようってときに、シンガーとしてテレビ朝日の「PRO-file」というオーディション番組に出演して優勝し、サマソニに出たりもしました。
レコード会社との契約の話も出たのですが、色々あってなくなってしまい、この世界はやっぱり厳しいのかな…と、大阪市立大学のロースクールに入りました。
でも、実際法律の世界に足を踏み入れてみて、法律じゃない、音楽だ!と腹が決まったんです。
その時点で既に20代半ばだったので、ただ歌がうまいというだけじゃだめだと思い、アメリカの音楽学校に留学を決意したんです。
当時はこんなに作曲をやるつもりはなかったんですが、それにしても、ちゃんとした理論や知識がある程度はないと企業のおっさんらに振り回されるとも思いましたね(笑)。
日本で学ぶのではなくアメリカを選んだ理由は?
昔から曲を作る時、歌詞は日本語じゃなくて英語で浮かんでくるんです。
日本語って音が平坦だから、メロディーに乗せるのがすごく難しくて。
日本で成功するなら、やっぱり日本語じゃないとダメだよと言われて、だったらアメリカ行っちゃえ!って。
最近は、訳詞の仕事もしてるのですが、訳詞は面白いですね。
作詞と訳詞は頭の使い方が全然違って、作詞は正解がないから産みの苦しみがあるけど、訳詞はあらかじめ答えがあるパズルを解く感覚ですね。
留学生活はどうでしたか?
アメリカには歌がうまい人は本当にいっぱいいると思い知らされました。
骨格もバックグラウンドも違い過ぎて、課題曲では太刀打ちできないことを痛感し、どうしたらここで戦えるかを考えました。
オリジナルであれば比較対象にならない!と、真剣に曲を作るようになりました。
ある日、人気テレビドラマ『ER』のミュージックスーパーバイザーという方が学校に来ていて、オリジナルのCDを渡したら、後日連絡があったんです。
誰がマスター持ってるの? パブリッシャーは? とか色々聞かれて。
残念ながら、一発撮りでノイズが多すぎるという理由で使われなかったけれど、曲が良ければ、人種とか年齢とか関係なく使ってくれるんだ!と感動しました。
そこからさらに曲作りにのめり込んでいきました。
留学先で一番役に立った授業を教えてください。
大人になってからの留学だったので、全ての授業を仕事だと思って臨みました。
学生って、この授業は役に立たないとか決めつけちゃうと思うんですけど、自分で学費出してるし、そのお金が使われていると思うと、全部出てやろうと。
当時つまんないなと思った授業も、今振り返ると役に立ってます。
例えば、当時はドラムのワークショップが多かったけど、それも全部出ました。
ボーカルとしては、四拍子の曲が全然ないじゃんとか思っていたけど、ポップスではありえないグルーヴはとても勉強になりました。
自身のファーストアルバム『Halfway to You』に収録されている変拍子の曲などにとても活かされていると思います。
なので、一番を選べないです。全部!
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