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「付け足しではなく引き算」―Campanellaが語る、ソリッドかつカラフルな傑作「Celosia」

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「1of1」とは世界にひとつしかないもの/ことを指す言葉です。この連載は日本で「1of1」な活動をしているアーティストたちにフォーカスして、活動の軸になっている信念、制作へのこだわり、ライフスタイルなどさまざまなテーマを深掘りしていきます。

今回のゲストは約5年ぶりのフルアルバム「Celosia」を発表したCampanellaさんです。キャリアを代表する傑作となった今作の話題を中心に、どんな感情で、何にこだわり、どんな音楽像を見つめているのか、彼の視線に映る世界を深求すべく話を聞きました。

文:宮崎敬太 写真:雨宮透貴

2年ぐらい前からライブでやっている曲もある

――現在ツアー「Celosia Tour」の真っ最中ですが、アルバムの反響を実感できていますか?

実感は……。その2月18日に「Celosia」をリリースして本当に2日後がツアーの1発目だったので、自分でもまだ追いついてないというか。確かにアルバムは完成したんだけど、まだなんかこう(反響などは)わからないんですよね。でもツアーの内容というか、ライブ自体はすごく楽しいです。

――「Celosia Tour」は初日が2月20日(金)の福岡・DRUM Be-1で、翌週2月28日(土)に石川・REDSUNと続いていましたもんね。

そうなんですよ。実はツアーを回るのが初めてなんです。今まではずっと単発で動いていました。これまでも皆さんに協力してもらってライブをしていたけど、今回はスペースシャワーのスタッフさんが現場のいろんなことを対応してくれて、あらためてみんなで作っているんだなっていうことを実感しました。

――今作「Celosia」は締切ギリギリまで作業されていたとか。

はい。本当にギリギリまで。客演の人にお願いするのが直前になってしまった曲もあるし、自分だけの曲を増やしたりとかして、なんとか間に合いました。

――前作「Mi Yama」(2023年12月)から約2年ぶり、フルアルバムとしては「AMULUE」(2020年12月)以来、約5年ぶりの作品となります。今作「Celosia」はいつ頃から制作を始めたんですか?

アルバムを完成させようと意識したのはたぶん1年以内だと思います。ただ自分がライブでやりたいなと思う曲を何曲かは作っていました。今回のアルバムには2年ぐらい前からライブでやっているのもあるんですよ。そこを制作の開始とするなら2年前とも言えるし。というか、当初は9曲くらい入ったEPにまとめるつもりだったんですが、(締切の)最後の2週間ぐらいで曲を増やして最終的に14曲になりました。

――「Mi Yama」は当初アルバムとして制作していたけど、「試しに出来上がった曲を並べてみたら、図らずしていいバランスの作品になったので」、EPとしてリリースしたと発言されていました(Mastered Mix Archives Vol.134 Campanella)。そのタイミングにできていた曲で今作に引き継がれた楽曲はありますか?

実際に作品に入ったかどうかは別として、その頃に作っていた曲だと『dojo』と『concent』ですね。このへんはかなり前からライブでやっていました。特に『concent』。その段階ではまだ鎮さん(鎮座DOPENESS)は入ってなかったけど、自分のライブによく来てくれるお客さんは一緒に歌ってくれたりもしましたね。

――あのラップをリリース前から歌えるお客さんは本物のヘッズですね(笑)。

(笑)。

――鎮座DOPENESSさんが参加した経緯を教えてください。

鎮さんにはこの曲を結構前に聴いてもらっていて。すごく気に入ってくれていたから、そのときに「じゃあ一緒にやりましょう」とお願いしたけど、自分がビートを送らずにいて、鎮さんも忙しいからなんとなく宙ぶらりんになっていたんです。その間に何度も会ってはいるんですけど(笑)。で、今年になってビートを送って、スケジュールの合間を縫って、あのすごいラップを入れてくれたという感じです。リリースする1週間くらい前に届きました。本当に鎮さんにお願いして良かったなと思います。

――『concent (feat. 鎮座DOPENESS)』『dojo』はもともとライブをイメージして制作した楽曲だったんですね。

そうっすね。クラブでライブすることが多いので、ああいう感じのほうがフロアライクというか、ノリやすい。自分の好きなインストにラップを乗っけた、みたいなイメージです。例えば、他のラッパーのライブでも、自分の好きなビートに好きなヴァースを乗せる時間があるじゃないですか。そのくらいの感覚です。ショッさん(shobbieconz)がいつもビートを送ってくれていたから、クラブっぽいというか、フロア受けするかなという感じでなんとなく作っていった楽曲です。歌詞はどっちも移動中に書いています。新幹線に乗っている1時間〜1時間半くらいで書き上げていると思います。

――基本的には書いたリリックはあまり直さないと話されていましたもんね。しかしすごい集中力。

ありがとうございます(笑)。

感じているあたたかさがみんな同じ

――今作は前半にフロアライクな曲が並び、『moyai』以降から楽曲のトーンが変わるイメージでした。

『moyai』はシングルリリースしているんですが、この曲ができたときになんとなくアルバムを組み立てられそうだと思いました。だから『moyai』から(アルバムの)トーンが変わるっていうのはわかります。


Campanella – moyai (Prod by Free Babyronia)【Official Music Video】

――僕は『moyai』が大好きです。

ありがとうございます。自分もすごく好きな曲なので嬉しいです。

――MVも素晴らしかったです。どこで撮影されたんですか?

新島ですね。(A&Rの)井坂さんが行ったことのある島で。井坂さんとJ(JJJ)が(「July Tour」のビジュアル撮影で)伊豆大島に行って、新島はそこから船でちょっとのところにあるからって実際に行ってみたらしいんですよ。そのときの話が面白くて、いつか自分も行ってみたいなと思っていたから、『moyai』のMVを新島で撮るのはどうかなと、提案してみたんです。

――Campanellaさんの柔和な佇まいというか、キャラクターを感じるMVでした。

たぶん『moyai』を聴いてくれた人の多くはそういうあたたかさみたいなものを感じてくれていると思うんですが、自分が書いていることは、クラブにいて朝方にハウスでフロアが爆発して、周りには泣いているやつとかいるのに、自分は「ちょっと切ないな」と感じながらボケっと立っている、みたいな情景なんです。でもそれって、自分にはすごいエモーションを感じる瞬間なんですね。

――「スピーカー前 首振ってるあの子」というリリックもありますし。だから『moyai』というタイトルなのか。

そうそう。自分としてはそういうシーンを書いているけど、曲として発表すると違う景色として受け取ってくれるっていうのがすごく面白いなと思います。映像を撮ってくれた方には、「原っぱのシーンはなくていいです」とか、逆に「人は撮ってほしいです」と伝えました。歌詞のまま表現しなくていいという。みんな感じているあたたかさが同じというのがいいな、というか、面白いなと思うんですよね。

余白のある歌詞がいい

――過去のアルバムのタイトル「PEASTA」も「AMULUE」も地元のお店の名前でしたが、本作の1曲目『De la waya』も名古屋のお店ですか? ¥ellow Bucksさんにも『Della Waya』というタイトルの曲があったので。

へー、彼にもそういう曲があるんですね。

――はい。綴りは違うんですけど。

彼も名古屋で活動をされている人だからたぶん一緒だと思うんですが、これは場所じゃなくて言葉なんです。「でら」がすごいって意味で、「わや」は大変みたいなニュアンス。『De la waya』でめっちゃ大変という意味ですね。

――言葉遊びですね。

そうそう、タイトルはなんとなくつけちゃっていることが多いんです。でも、ドキッとさせたい意図はありますね。だから後からつけることが多いです。というか先にタイトルを決めることはほぼないかもしれません。

――先ほど新幹線の中でリリックを書かれることが多かった、とお話しされていましたが、Campanellaさんはどのようにラップを作っていくのですか? 例えばフロウを宇宙語で先に作って、後から言葉を嵌めていくとか?

そういうやり方の人、多いですよね。俺は絶対にそれをやらないですね。これはやっている人を否定しているわけじゃないです。

――ビートを聴いて、言葉とラップを同時に作る。

そうです。

――Campanellaさんのラップはいい意味で「campy & hempy」や「vivid」の頃から変わらないですよね。でも作品を重ねるごとにラップの強度と作詞力が増している印象があります。しかもトレンドとは一定の距離を置いていて。『dojo』の「そっちがそっちでやってんだったら」はCampanellaさんらしいラインだと思いました。本来は違う意味だとは思うのですが。

でも、そうやって捉えてもらえたなら「それでいいです」という感じですね。俺自身、自分のリリックを読んで、言い切っているときは言い切っているのに、言い切らないこともあって、「これはどっちなんだろう」と思うことが多い。でも、自分としては、余白じゃないですけど、そういうものは作りたいと思っています。1個のラインでダブルミーニングとまではいかないまでも、いろんな捉え方ができる。それは良い意味でも悪い意味でも。「これ、自分に言っているのかな?」と思わせられたらいいなとは思っていますね。

付け足しではなく引き算

――『2001』の「マジ カラフルに見せる遊び方」というラインは自分のイメージするCampanellaさんでした。今作にはGZAやBig Daddy Kane、ODB、TOKONA Xなどといったレジェンドラッパーたちのネームドロップがある一方で、エイフェックス・ツインも出てきます。過去にはポーティスヘッドやオウテカの名前をラップしていました。Campanellaさんの音楽遍歴を教えてください。

ネームドロップしているアーティストに関してはもちろん好きなんですけど、ファンだから言っているのではなく、象徴としての名詞という部分があります。それを踏まえて、自分的には2000年代のヒップホップが青春でしたね。

――『SOFT feat. 仙人掌』はクリプスをイメージしたとApple Musicの解説でも話されていました。

まさにクリプスとかあの辺の人たちですね。ティンバランドとかファレルとか。

――実はめっちゃ変な音楽ですよね。

そうそうそう。

――当時、自分はクラブミュージックを中心にジャンルレスに音楽を聴いていましたが、あんなアヴァンギャルドな音楽が全米1位とかになっちゃうのはすごいなあと思ったのを覚えています。

ファレルなんかはノリだけじゃないですか。それがすごいと思う。あのノリを出せないよなって。あとスウィズ・ビーツとか。あの辺が自分の世代なんですよね。

――ハウスやテクノのようなクラブミュージックはいつ頃から?

ハウスやテクノに関しては聴くというよりも、遊びに行く場所で鳴っている感じかな。好きな音楽に関して言うと、音数が少ないものだけを好きなわけじゃなくて。でもラップに関しては在り方にこだわりがあります。古い考え方なのかもしれないけど、小細工したくない。付け足しではなく引き算。自分はそういうラップがかっこいいと思います。だから自分が今まで聴いてきた音楽は、今の自分にそこまで影響してないのかなと思いますね。むしろ影響がどんどん抜けていっているので、(音楽遍歴からの自分の音楽について話すのは)言いづらい。でもビート選びには(影響が)あるのかもしれないです。

――それも単にエイフェックスツインやオウテカというわけではなく、あくまで記号でしかなく、そこから象徴される周辺のさまざまな音楽、という意味なんですね。

そうです。

――日本のヒップホップシーンにおいて、名古屋は非常に地域性の強い土地なので、そんな場所からなぜCampanellaさんのようなオルタナティブなサウンドでラップする人が誕生したのかを知りたくて、音楽遍歴について質問してみました。

俺は不良ではないので。TOKONA Xに憧れてラップを始めたから、最初はそういうのが好きで、そういうリリックも書いていました。でもそれを続ける気力が本当になかったので、自然と今のようなスタイルに変わっていったというのはあります。

――自分らしいスタイルに。あと近くにRamzaさんやFree Babyroniaさんがいたこと、さらに当時はシーンの中心が東京だったので、名古屋で活動している自分たちは他と違うことをしないと目立てなかったというニュアンスの発言もされていました(fnmnl【インタビュー】Campanella『AMULUE』| 満たされながら広がっていった)。

そこもありますね。

「Celosia」は弱い自分と向き合っている曲

――今作では、14曲中、8曲がライブのバックDJでもあるshobbieconzさんのビートです。そもそも彼とはどのように出会い、バックDJをお願いする流れになったのでしょうか?

ショッさん(shobbieconz)にバックDJをしてもらうようになったのはもう10年以上前ですね。知り合ったのはさらに前。ショッさんは岐阜の人で、当時イベントで一緒になることが多かったんです。自分には決まったバックDJがいなくて、たまたま同じイベントに出たときにお願いしたのがきっかけですね。ショッさんはものすごくDJがうまいので、いきなりお願いしたのにもかかわらずしっかりやってくれて、それ以来ずっとお願いしています。

――shobbieconzさんのビートがかっこよすぎます。ソリッドでノイジーなビートもあれば、気持ちいいリフレインがあるビートもあり。

そうなんですよ(笑)。ここ1〜2年で定期的に5〜6曲くらい送ってくれていて、自分はその中から1〜2曲選んで曲にしていました。それがだんだん溜まってきた感じですね。あと自分はほぼ毎週どこかでライブをしているので、1週間の中のたった2日ではあるけど、ライブの度にショッさんと会っていたから、移動の時間とかにショッさんと曲の話をしやすかったんですよね。

――直接話したほうがニュアンスもしっかり伝わるだろうし。

そうそう。なので、今作ではショッさんのビートが多くなったんだと思います。

――個人的な感覚ですが、今作はこれまで以上に注目されているというか、作品が世の中に伝わっているように思います。ようやく時代がCampanellaさんに追いついたというか。自分の友達の中学生の息子がCampanellaさんのファンなんですよ。そんな状況は数年前までは考えもつきませんでした。Campanellaさんはキャリアを独立独歩で切り開いてきましたが、これまではどんな心境だったのでしょうか?

どうだろう。変わんないと思います。やっぱりキレてるし、そのときに感じてることとかを曲にしていくっていうのは昔と全く同じです。誰かが聴いてくれてるっていることは曲になったあとに気づいたりしてます。

――音源やライブを観ている者からすると、そういうイメージはまったくなかったです。尖っているけど、受け取るエネルギーはものすごくポジティブでした。JJJさんの「Eye Splice」に「キレてる まるでカンパネルラ」というラインがありますけど、僕は一時的な感情のことかと思っていましたし。

(笑)。イライラしているわけではなく、キレているというニュアンスですね。でも「時代が追いついた」と言ってもらえたことはすごく嬉しいです。ただ……まだまだムカついていますね。

――何にムカついて、何にキレていますか?

簡単に言うと「つまんねえな」って思うこともあります。ラッパーの動きが固まりつつある気がする。

――そのフラストレーションがソリッドなビート選びやラップの力強さ、作品のクオリティ、そしてライブのエネルギーになっているんですね。

はい。

――『Monarch』はストレートに怒りを感じる楽曲でした。この楽曲でC.O.S.A.さんに声をかけた理由を教えてください。

ビートを聴いていて、この曲にC.O.S.A.がラップをしたらめちゃくちゃかっこいいだろうなと思っていて。良き機会にお願いしたいなと思っていたんです。アルバムの制作の終盤に彼と会うことがあって、「もしお願いできたら……」って感じでお願いしたら快くOKしてくれました。そのままホテル帰ってリリックを仕上げました。怒りってほどでは無いんですけど、自分が思うことを吐いてます。彼はいつも自分には無い余裕と視点があって勉強になります。

――『Monarch』の「クロカルでのLIVE 後悔したやつ とりあえず電話しな まーいつかくらわしてやるから いつかあいたい現場でな」とというリリックはどんな状況だったのでしょうか?

これは本当に恥ずかしい話なんですけど……。クロカル(「XROSS CULTURE」)は自分の仲良くしているD.R.C.がやっているフェスで、本当に楽しくて前半から飲み過ぎてしまってライブが全然できなかったんです。それを観て楽しんでくれた人もいたんですけど、やっぱり後悔というか残念な気持ちになった人もいたと思って。だからあのとき、後悔したような人たちに向けての謝罪と「次は絶対にかますからまた遊びに来てください!」という自分の気持ちです。

――C.O.S.A.さんとの付き合いはかなり長いと思いますが、今改めてCampanellaさんにとってどんな存在でしょうか?

本当に凄いなと思います。自分がラップを続ける一つの理由にもなっていますね。

――アルバムタイトルになった『Celosia』は葛藤について歌っているそうですね。

なんだろう。すごい遊んで帰ってきてバッドになってしまった瞬間を歌っています。不安で、自信もない。そんなの1日寝ちゃえば忘れちゃうような大したことではないんだけど。そういう弱い自分と向き合っている曲です。元気なときに東京のホテルで書きました。自分のリリックに関しては、これが最後にできた曲ですね。

自分にとってはスロウタイが一番革新的

――『SOFT』の仙人掌さんのヴァースもすごかったです。

自分は割と客演を誰にお願いするか悩んでしまうタイプで。あれこれ考えた結果、最初にビートを聴いたときにイメージしたヒデオくん(仙人掌)にお願いしました。自分がギリギリまで悩んでいたので喫緊のオファーになってしまって。そしたら、ヒデオくんはあのヴァースを旅行中に書いてくれたんです。

――「リゾートでも歌詞書くヒップホップアーティスト」というリリックがありました。

そうなんです。最初から今回のアルバムは割と自分と近い関係性の人に参加してほしいと思っていて。時間のない中でオファーしたら、旅行中に歌詞を書いて、帰ってすぐにレコーディングして送ってくれました。

――頼もしいエピソードですねえ……。かっこいいなあ。

本当に最高でした。さっきも少し話題に出たけどこの曲はクリプスみたいな曲にしたくて。でも別にそういうことはヒデオくんには伝えてなかったんです。そしたらあのラップが返ってきて。

――そうなんですか!

クリプスのことも歌ってくれているし、俺もRamzaも大好きなスティーブ・ライヒやIndopepsychicsとかも入れてくれて、本当に理解してくれているというか。最高です。

――『TYRON Freestyle』はUKのラッパー・スロウタイについてのリリックだそうで。

自分はスロウタイがすごく好きなんです。とある事件の疑いがあって活動が止まったんです。確か2024年か2025年かに「そういえばどうなったんだろう」と調べたら、無罪判決が出ていて。疑惑が出たときはニュースになるけど、無罪だったことはあまりニュースにならないなと思って。


Campanella – TYRON Freestyle (Prod by shobbieconz)【Official Music Video】

――スロウタイのどんなところが好きですか?

今のUKにいる人たちもかっこいいけど、自分にとってはスロウタイが一番革新的でした。だからスロウタイのスタイルを真似するラッパーが日本にもたくさん出てくるんだろうなと思っていたタイミングでの話だったんですよね。確かブラーと一緒にツアーを回る前だった記憶が。

――世界的に飛躍するタイミングで。

そうそうそう。もうだいぶキテたと思うけど、(スロウタイのキャリアは)そこで一旦終わってしまって。そんな事を考えていた時期にJのライブで佐々木(KID FRESINO)がDJしていて、スロウタイの『nhs』をかけていたんですよ。たぶんあいつも無罪のニュースを知ってかけたんだろうなと勝手に思っていました。そのときに、あらためて「やっぱすげえいいな」と思ったから印象に残っています。『TYRON Freestyle』の、特に後半にそういう気持ちが乗っている。曲に大きな意味があるわけではないけど、またスロウタイの音楽が聴ける日が来るのかなとか、そういった感情です。

最後の曲のアウトロが終わったら、1曲目のイントロがまた鳴り出す感じ

――『Hero (feat. Daichi Yamamoto)』にはDaichi Yamamotoさんが参加されています。ヒーローというテーマでDaichiさんと書こうと思ったのはなぜですか?

ダイチくんがヒーローなんですよね。なんていうんだろう。一番近くで、……一番近くでっていうか、なんかこう日々音楽を作って、大きいステージに出てっていうのを、ダイチくんのツアーに呼んでもらったっていうこともあって、近くで見ていて「なんかヒーローっぽいな」と思ったんです。ダイチくんのために作った曲じゃないけど、俺のことをヒーローだと思ってくれている人もいるし。あとは憧れもあるし。

――それはダイチさんへの?

そうそう。リスペクトとも言えるし。彼とは結構いろんな話をするから、なにか曲を作りたいと思っていました。この曲はそういう話題の中のひとつみたいな感じ。それこそ一緒にツアーを回って、そのときの感情を書いていったという感じ。

――『HANABI』はJJJさんのラインを引用されています。「HANABI」というタイトルも、北野武が「キッズ・リターン」の後に撮った作品です。CampanellaさんはJJJさんとたくさん共演されて、2人の代表曲と言っても差し支えない曲が多数発表しています。CampanellaさんにとってJJJさんはどんな存在ですか?

本当に、友達ですね。家にもむっちゃよく遊びに行っていたし。一昨年くらいのJのライブは、たぶん俺80〜90パーくらい参加している可能性がある。

――確かに。毎回2人が観られて嬉しかったです。

めっちゃ一緒でしたよね。

――今作は『HANABI』で完結しているように聴くこともできますが、その後タイヘイさんが弾く『fevrier 9th』から、STUTS Bandとの『Bollard (feat. STUTS band)』、KID FRSINOさんとの『supaflat (feat. KID FRESINO)』が続きます。この展開にどんな意図があるのか教えてください。

『Bollard』は2年前ぐらいのSTUTSのホールツアーの前に一旦できていて。今回、自分のアルバムに入れさせてもらうにあたってヴァースが変わっていたりもするんですけど、まあ基本はできていたんですね。アルバムのまとめ段階に入って、「あの曲をどうしようか」と考えていたら、今言ってくれた流れが自分の中でできて、「つながるかもしれない」って思ったんです。なんか自分はアルバムをCDでリピート再生している感覚なんですよね。最後の曲のアウトロが終わったら、1曲目のイントロがまた鳴り出す感じってあるじゃないですか。そういうつながりが作れそうだと思って、STUTSに「『Bollard』を自分のアルバムに収録させてください」とお願いしました。

――『Bollard』はCampanellaさん名義ではかなり異色の1曲ですよね。でもアルバムのエモーションと、同時に穏やかな心情みたいなものも感じられて、素晴らしいと思いました。そして最後にぶっ飛んだ『supaflat』が来るのがかっこよすぎて。

あれ(『supaflat』)は俺もすげえ気に入っていますね。佐々木は俺の「こういう感じなんだ」とか「こういう感じでかっこつけたいんだ」とかっていうのを感じて付き合ってくれる気がしています。なんだろうな。数少ない理解者っていうか。

――最後に一点伺いたいのですが、Campanellaさんはフリースタイルが苦手らしいですね。

人前でやるのが苦手なんですよ。自宅ではめっちゃ調子いいです(笑)。

――その違いはどこに?

(人前だと)やっぱり考えちゃう。例えば「このフローのケツにこういう言葉が出ちゃったらダサいな」っていうのがすぐによぎっちゃうから俺は人前でフリースタイルができないんですよね。

――韻を踏むために納得できない言葉を言いたくない。それこそ引き算でラップしているという信念があるから余計に。

そうそう。人前だと余計なことを考えちゃうから、良い言葉が出てこないっていう。でもできるようになりたいです。

――ちなみに今後の予定で決まっていることがあれば教えてください。大作「Celosia」をリリースされたばかりですが。

ツアーの最後があります。3月28日に東京でMIDNIGHT EAST(Spotify O-EAST & AZUMAYA)、ファイナルは名古屋のダイヤモンドホールですね。あと制作もしていて、EPをすぐに出せたらなって思っています。頑張ります。

(ライブ情報)

Campanella Celosia Tour

東京 MIDNIGHT EAST(Spotify O-EAST & AZUMAYA)
2026/3/28 Sat. OPEN/START 24:00
ゲスト:
(Spotify O-EAST)STUTS、鎮座DOPENESS、KID FRESINO、shobbieconz、YELLOWUHURU、Ramza、NEI&homarelanka
(AZUMAYA):5harpy、ALJ、DJ Quietstorm、Hibi Bliss

名古屋 ダイヤモンドホール
2026/3/31 Tue. OPEN 18:00 / START 19:00
ゲスト:
C.O.S.A.、STUTS、仙人掌、武嶋聡、鎮座DOPENESS、中納良恵(EGO-WRAPPIN’)、shobbieconz

チケット:イープラス


Campanella
Rapper (MdM)
1987年愛知県生まれ。 音楽と言葉を変幻自在に操るRapper。
2011年、RCSLUM RECORDINGSのV.A.『the method』 に参加。
その後、C.O.S.A.とのユニットであるコサパネルラ名義の作品、 フリーミックステープ、CAMPANELLA&TOSHI MAMUSHI名義の作品などを立て続けにリリース。
2014年、ファースト・アルバム『vivid』をリリースし脚光を浴びる。
2016年、セカンド・アルバム『PEASTA』をリリース。
2017年、中納良恵(EGO-WRAPPIN’)とのコラボレーション楽曲『PELNOD』、2019年に坂本龍一の楽曲”ZURE”をサンプリングした楽曲『Douglas fir』をシングルカット。
2020年、サード・アルバム 『AMULUE』、2023年EP『Mi Yama』をリリース。
2026年2月にリリースした最新アルバム『Celosia』が高い評価を得た。現在”Celosia Tour”を開催している。

宮崎敬太
1977年生まれ、神奈川県出身。音楽ライター。オルタナティブなダンスミュージック、映画、マンガ、アニメ、ドラマ、動物が好き。WEB媒体での執筆活動の他、巻紗葉名義で「街のものがたり」(P-VINE BOOKS)を執筆、D.O自伝「悪党の詩」(彩図社)の構成なども担当。
Instagram:https://www.instagram.com/exo_keita/
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