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「誰もいない野原に小屋を建てた感覚」valkneeのオルタナティブな活動の軌跡を振り返る

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「1of1」とは世界にひとつしかないもの/ことを指す言葉です。この連載では日本で「1of1」な活動をしているアーティストたちに話を聞いていきます。いろんな人たちのいろんな言葉が連なったとき、日本が独自の感性で育んできた音楽文化を重層的に表現できるのではないかと思っています。

今回のゲストは人気ポッドキャスト「ラジオ屋さんごっこ」が書籍化されたvalkneeさんにお声がけしました。valkneeさんは昨年1stアルバム「Ordinary」を発表し、東京・WWWでキャリア初のワンマンライブを実施しました。その後、WWWとWWW Xを借り切ってサーキットイベント「Crash Summer」を主催。2025年には『読むラジオ屋さんごっこ』を上梓して、「Culture (that) Cultures」と銘打ったリリースパーティーには柴田聡子さん、んoonに加え、お笑いコンビ・春とヒコーキ、ママタルトという異色のメンツを招聘しました。

「この世界に私の居場所はない」と一人怒っていたvalkneeさんは、今何を思っているのか。深く話を聞きました。

文:宮崎敬太 写真:雨宮透貴

このアルバムが私にとっての普通

――「Ordinary」は素晴らしい作品でしたね。valkneeさんがポッドキャスト「ラジオ屋さんごっこ」(以下、ラジご)で丁寧に説明してきた思想がしっかりとラップに落とし込まれていて、しかもいろんなタイプのビートがあるのにアルバムとしてまとまっている力作だと思いました。

valknee:ありがたい(笑)。ずっとアルバムを出したいと思っていたんですが、全体をひとつのトーンで統一するのが難しくて。私はいろんなタイプの曲を作るから、コンセプトでまとまりづらいというか、(曲を)並べてみるとちぐはぐに感じてしまって。だから最後のほうは出来上がっている音源をプロデューサーに聴いてもらって、(アルバムに)足りない要素を作ってもらっていました。

――なるほど。既発曲の『WHITE DOWN JKT』や『BREEEEZE』のような曲が多くて、プロデューサー目線からアルバムとしてのトータル感が出るような曲を作ってもらった、と。

valknee:そうです! それで最後の最後に『Over Sea』ができました。ああいう曲が全然なくて。

――音楽に乗せることでパーソナルなトピックが世界に広がっていく、という曲ですよね。言葉選びや韻の踏み方のセンスが最高だと思いました。

valknee:本当ですか? 『Over Sea』は「Ordinary」の中でも最後の最後にできた曲なんです。実はアルバムを入稿したのも発売予定日の二日前とかで、本当にぎりぎりな感じだったこともあって、比較的スルッとできました。でも結果的に「Ordinary」を象徴する曲になったと思う。自分の姿勢をプレゼンするのに適した曲というか。それにこの曲はすごく評判がいいんです。

――「Ordinary」というアルバムタイトルもvalkneeさんらしいなと思いました。

valknee:このアルバムが私にとっての普通っていう。ちょっと皮肉っぽいですよね。ヒップホップって普通じゃなさを競っているところがあると思うんですよ。異常にお金持ってたり、異常なファッションをしてみたり、異常な生活を公開したり。だから私は逆に普通でボースティングしようと思って。

――よくこのワードが見つかったなって思いました。

valknee:『OG』ができたタイミングで一緒に。セットにすればよりわかりやすいかなと思って。

――“Ordinary Vibe / なんでもない女の子のOG”(『OG』)というラインですかね?

valknee:うん。コアなファンの人たちには『OG』が一番人気あります。かなり偏っているけど、私が私のファンだったらこういう曲を聴きたい。と、同時に自分好みな曲も作りたいから、そこはバランスですね。ありがたいことにリスナーがどんどん広がっていて、新しい人は『Over Sea』を好きって言ってくれて、古参が「『OG』っしょ!」と言ってくれているイメージ。自分としては、実験の連続っていう感じ。さっきも言ったとおり『Over Sea』も全然狙ってなくて。逆に「こういうのが人気なんだ。ふむふむ」みたいな(笑)。私はものすごく主観的な人で自分の生活以外は見えてない。だからアルバムのレスポンスを聞かせてもらって、世の中と自分の差異を知る、みたいな感じかもです。

――僕は知性を感じました。

valknee:嬉しい。けどなんなんでしょうね。すごく偏っている自負があるからこそ、世の中を知りたいっていう。調査というか、監視したがっているのかな。

――自分を疑う的な?

valknee:うん。調査の過程で気になったものは細かく取り入れていますし。折り合いをつけていると言いますか。曲もファッションも昔と比べるとだいぶ変わったと思います。

――確かに以前のvalkneeさんはもっと奇抜なファッションだったかも。

valknee:ですよね。昔は私がどんな格好していても、曲が面白ければどんな人にも届くと信じていたんです。けど、やっていくにつれて「実はそうじゃないかも」と思うようになってきて。実際、私自身もリスナーとしてアーティストを見た目で判断しちゃう面があって。「あ、この人は私には関係ない歌手だ」みたいな。しかも無意識のうちに。自分自身を表現することは好きだけど、それ以上に今は自分の音楽をたくさんの人にいっぱい聴いてもらいたい。だから、今はとんでもない格好するのはちょっとやめようかな、と(笑)。そういうのも含めて、常に実験しながら活動しています。

――昨年のワンマンもすごい熱気でした。

valknee: 5年目にして初めてワンマンを開催できました。2018年くらいから活動していたから、きっと待っていてくれたファンの人たちの熱気だったんだと思います。実際、ものすごくあたたかい空間でした。

――そのすぐ後にWWWとWWW Xを借り切って自主イベント「Crash Summer」を開催しました。ラッパーが個人で借り切るのがすごいなと思って。

valknee:あれは本っ当に大変でした(笑)。楽しかったですけどね。私は会場を動き回れるサーキット系のイベントが好きだけど、最近あまりないかもと思ったのがひとつ。もうひとつはシンプルに自分が好きなアーティストを大きい会場で観たいと思ったんです。そんな話を友達としていたら「じゃあやろうよ」という流れになって開催しました。

――アルバム、ワンマン、「Crash Summer」と立て続けに大きな話題が続いたので、いちファンとして「おお、valkneeさんが大活躍している」と圧倒されていました。

valknee:(笑)。渦中にいると楽しさはあまり実感できませんでしたね。実務が大変すぎて。でも不思議なもので、こうして改めて振り返ってみると、やっぱりめちゃ楽しかった。実務をこなす自分と客として楽しむ自分が二人欲しいと思っちゃいました。でも実は今年も「Crash Summer」を開催します。次はSpotify O-EastとO-East 3Fです。

――スケールアップしてる!

valknee:がんばりますよ! みんな7月5日の予定を空けといてください。

Crash Summer2
日程:2025年7月5日(土)OPEN/START 15:00
会場:Spotify O-EAST、O-EAST 3F
チケット: 前売 ¥5,000(税込) U-18 ¥4,000(税込)※オールスタンディング/別途ドリンク代
イープラス: https://eplus.jp/crashsummer-2/
出演:4s4ki / SATOH / REIRIE / Dos Monos / valknee / who28 / Lil Ash 懺悔 / Lilniina / levi / Яu-a / Sad Kid Yaz / Siero / Yog* / goku sasaki / Filix王 / iga / BirthBySleep / 小籠包ぽぽう / hirihiri / music fm / nonoka / NUU$HI / soakubeats / yanagamiyuki / バイレファンキかけ子 / VJ shun mayama

好きな人たちを自分で手繰り寄せている部分はあるかも

――アルバムの話題に戻りますが、個人的には『Not For Me』がすごく好きでした。『Over Sea』からの流れがすごくかっこいいなと思って。

valknee:そこにフィールしてもらえるのはすごく嬉しい。『Not For Me』は私的に一番玄人向け。それこそ『Over Sea』と『Not For Me』で表裏みたいな感じになっています。同じことをポジティブな言葉で言うか、ネガティヴな言葉で言うか、みたいな。

――valkneeという活動も、「ラジご」も、「Crash Summer」も“自分が楽しめる/好きな/ハマれる場所がないなら自分で作る”という活力を感じるんですよね。

valknee:映画にしろ、ドラマにしろ、マンガにしろ、登場人物の発言や行動をまったく理解できないことが多くて。そういう作品に触れると「ああ、これは自分向けに作られてないんだな」「この世界に私の居場所はいないんだな」と感じていたんです。

――そういう作品と出会ったら、無理にでも自分を作品に寄せていく人もいるから、そこで「あーまたわからんわー」と表明することにすごく意味があると思うんです。

valknee:たとえば普通にマンガを読んでいると、突然、恋愛要素が出てきて話が急展開することってよくありますよね。私はまずそこが意味わかんない。置いていかれる。というか、疎外されている気持ちになることが多かった。こういう感覚を話している人、書いている人があまりいないなあと思ったので曲にしました。

――「B-BOYイズム」魂ですね。ちなみに今も疎外感を感じますか?

valknee:今は自分から発信しているし、周りに色々と話せる友達がいるからだいぶなくなりました。でも活動初期は違いましたね。そういう意味ではだいぶ生きやすい環境にいるのかも(笑)。

――『Over Sea』にからめて言うと、valkneeさんの個人的な考えを発信し続けることによって、「ラジご」が本(『読むラジオ屋さんごっこ』(以下、ラジご本))になり、本のリリパが東京キネマ倶楽部で開催され、そこに柴田聡子さん、んoon、春とヒコーキ、ママタルト、バイレファンキかけ子さんらが出演するっていう。当時の「ラジご」の規模感から考えるとまさに「ちっさい声が伝わる」が具現化したような。

valknee:そんなふうに考えたことなかった。でも、言われてみるとめっちゃ不思議ですよね。あのラインナップを集められたのが「偶然」と言うのは言い過ぎなんですけど、割と予想だにしなかった方向にうまく転がったと思います。『ラジご本』のリリパに関しては、単なる音楽イベントにしたくなかったというか、書籍のリリパなら成立するメンバーをブッキングしたいとみんなで話していました。私と柴田さんの音楽性は全然違うけど、意外と一人、人を挟むと繋がりがあったりしたので、とりあえず好きな人たちにアタックしてみよう、みたいな感じでやっていたら最終的にああいう形になりました。だから全然狙ってなかったけど、結果としてすごくしっくりくる組み合わせになりました。

――この1〜2年でvalkneeさんがコツコツと積み上げてきたものが一気に形になっているように思うのですが、ご自身では現在をどのように捉えていますか?

valknee:正直わからないです。まだ渦中にいるというか、常に「これで合ってるのか?」みたいな感覚。たとえば知見のある人にサポートを受けながらしっかり計画を立てて、そこに沿って活動している方もいるんでしょうけど、私は今もずっと一人でやっているから正しい速度がわからない。そもそも「(活動が)進んでるのかな」みたく思っちゃいます。

――めっちゃ進んでいると思います。

valknee:マジですか。確かに自分が人のイベントに出ていくよりも、好きな人たちを自分で手繰り寄せている部分はあるかも。後者の方が圧倒的に大変だけど、一回一回に意味が出てくるから、そこはかなり意識的にやっているかもしれない。もちろん面白そうなイベントに誘っていただけることもあるけど、「だったらここをもうちょっとこうしたほうが……」みたく思っちゃうことがあって。そんなふうに感じるなら自分でやっちゃおう、みたいな感覚ですね。

名前もついてないような音楽を嗜んでいるリスナーたちを耕したい

――現在のvalkneeさんはご自身がヒップホップシーンにいる感覚はありますか?

valknee:なんか前より、もっと離れた感じはありますね。これは他のインタビューでも話したことあるんですけど、前までは、私は私でヒップホップに影響を受けているし、アティチュードも持ってるんだから、「ヒップホップのリスナーは私のこと認めろよ」「聴いてくれよ」っていう気持ちだったんです。そうは言っても、たぶん人は「自分に関係あると思うもの」しか摂取できない。

――ファッションの話と繋がりますね。

valknee:一緒です。生活圏や文化圏が違う人たちにいくらアピールしても、やっぱ無理があるというか。どうにも達成できない。もちろんそうやって活動していると一部の人は好きになってくれるんですけど、私は自分の音楽でいっぱいの人に喜んでもらいたいから、聴いてくれる可能性がある人のほうを向いていくのがいいかなって思っています。

――柔軟になりましたね。

valknee:時間は無限ではないじゃないですか。以前は不特定多数に向けて「ヒップホップってこういうものでしょう」と啓蒙的に活動して「なんで聴いてくれないんだよ」と怒っていたんですけど、いまはリスナー1人ひとりのことを想像して創作しているんです。「どういう生活なの?」とか、「どういう場面で聴くの?」とか。そこにエネルギーを使っています。結果的にそのほうが独自性も出ると思うし。

――そういった心境の変化は、活動の中で徐々に獲得したものですか?

valknee:それもあると思うけど、去年、仕事を辞めてライフスタイルが変わったことも影響していると思います。一時期は仕事自体がかなり大変で、満員電車に乗って通勤していたから、結構強めのヒップホップを聴いてストレス解消していたんです。それが活動にも「ラジご」での発言にも影響していました。今はそこから離れたことで、だいぶ考え方が変わったし、ヒップホップ以外のオルタナティブな質感の音楽に触れる時間も多くなってきました。

――「ラジご」つながりだと、今回の『ラジご本』に掲載されていた「男が作った基準に当てはまってる女しかフックアップされない」(P.124/30歳からの美容)に改めてハッとさせられました。

valknee:とはいえ、今だったらこんなふうに表現しないと思う。けど、あの頃は紛れもなくこう思っていました。最近は女性のプレイヤーが増えてきたし、選択肢も多くなってきた。それはそれでどんどん加速してほしい。でも私自身は、いわゆる“ヒップホップリスナー”だけではなく、自分の周りにある名前もついてないような音楽を嗜んでいるリスナーたちを耕したい気持ちのほうが強いです。根底にあるのは『ラジご本』にも掲載された発言なんですが、今は開拓するほうに興味が向いていますね。

誰もいない野原に小屋を建てた感覚

――良い意味でどんどん変化しているんですね。

valknee:はい。まあ、この発言をした時期が特にスレてる(笑)。あとやっぱり聴いてくれる人がシンプルに増えたっていうのもありますし。

――僕はリリックで言っていることを実現させる人をかっこいいと思うので、valkneeさんをめちゃくちゃリスペクトしています。

valknee:うわ、マジか。でも真面目にそうかもしれない(笑)。嬉しすぎ。自分では誰もいない野原に小屋を建てたみたいな感覚なんですよね。

――その誰もいなかった野原に居心地の良さを感じて人が集まってきているというか。「ラジご」のリベラルなスタンスも含めて、valkneeさんの活動は茨の道だったと思うんです。でもここ最近のvalkneeさんを見て、続けることの意味を学びました。なので「Ordinary」が好きで、まだ「ラジご」を聞いてない人がいたら聞いてみてほしいです。

valknee:「ラジご」で言ったことをそのまま「Ordinary」で歌っていたりしますからね(笑)。私は文脈のある表現やテキストが好きだから、気づくと誰にもわからないリリックになってしまうんです。そこはかなり注意して調整してますね。

――トライアンドエラーで。

valknee:そうですね。でも私の音楽は両方知っている人のほうがより楽しめるとは思う。「ラジご」の良いところは全然違う考え方の3人がさらにゲストの方を交えて、ひとつのテーマについてじっくりとトークすることです。話しながら自分を知ることができるし、新しい考えも吸収できる。だから思考が硬直しない。その感覚でリリックを書いているので常に進化できる。

――「ラジご」は良い事しかないですね(笑)。

valknee:はい(笑)。逆に私から質問なんですけど、『ラジご本』のエピソードのラインナップどう思われましたか?

――「ラジご」の入門編でありながら、同時に3人のユーモアあふれるキャラクターと知性がしっかり表現されているラインアップだと思いました。しかも政治やルッキズム、エイジズムのような話題にしづらいテーマも収載されていて、良い意味で攻めているのが「ラジご」っぽい。

valknee:好きな回はありましたか?

――valkneeさんのアートディレクションを担当しているAOI ITOHさんが参加した「続・“かわいい”に囚われる人々」と、そのあとに掲載された美容ライターさんのコラムの流れに食らいました。

valknee:長田杏奈さんのテキスト、素晴らしかったですよね。道標みたいな内容でほっとできるというか。

『読むラジオ屋さんごっこ』
著者:ラジオ屋さんごっこ
登場する方々(敬称略、あいうえお順):AOI ITOH(アートディレクター) / 飯塚大悟(構成作家) / 石村大輔(建築家) / 宇多丸(ライムスター) / 渋谷直角(まんが家) / ジョージ / 高橋若木(大学教員) / 竹中夏海(振付師) / 積島直人(んoonベーシスト) / つやちゃん(文筆家) / 長田杏奈(美容ライター) / 能條桃子(一般社団法人NO YOUTH NO JAPAN代表理事、FIFTYS PROJECT代表) / 橋本麦(映像作家) / 長谷川白紙(音楽家) / ひろだつの(ラジオリスナー) / ぷにぷに電機(アーティスト) / MASAKO HIRANO(ビジュアルアーティスト) / Rachel(chelmico) / 渡辺志保(音楽ライター) / and more
出版社:ソウ・スウィート・パブリッシング(発売日:2025年4月17日)
Amazon:https://amzn.asia/d/ePxkb7I

――『ラジご本』が完成したことについてご自身ではどんな感情をお持ちですか?

valknee:出たばっかりなので、正直なところまだ実感がないです(取材日は4月17日)。友達が「本屋さんに並んでたよ!」と報告してくれて、それが結構大きい本屋さんだったりして。にわかに信じがたいというか。本当にこんなことあんのかっていう。あと本と並行してクラウドファンディングして、『ラジご本』の付録本を作ったんです。
https://radioyasan.thebase.in/items/105216453

――うわ、めちゃくちゃおしゃれなデザインですね!

valknee:3冊ひとまとめになっていて、#1が『ラジご本』には収録されなかったゲストとの対談のフル尺、#2がリスナーと私たちの書いたコラム、#3が用語集になっています。

――3冊ともデザインのテイストが違っていてかっこいいっす。

valknee:実はこれ、私が編集を担当しました。

――えっ!? 普通にすごくないですか。

valknee:#3の用語集が私のお気に入りで、辞書みたいなデザインにしてるんです。

――いまチラッとだけ読ませていただいたんですけど、書いてあることはいつもの「ラジご」なのに辞書のデザインだからか、妙なギャップがすでにおもろいです。

valknee:おー、嬉しい! 小ネタや「ラジご」ならでは表現、私たちもなんとなく使っている言葉をこの機会に収集して定義してみたんです。リスナーにもめっちゃサポートしてもらいました。

――それを辞書形式にまとめたんですね。てか、これ0回から191回までピックアップされているということは……。

valknee:そう過去7年間分です。これを作るの、本当に大変すぎて。今はBASEでも売っているので、『ラジご本』が面白かった人はこれも読んでほしいです。

ブラックな毒舌キャラなのに名前が可愛すぎる

――valkneeさんにとってAOI ITOHさんはどんな存在ですか?

valknee:あおいちは大切な友達の1人でもあり、自分とはかなり違う能力を持っているので、すごく頼っちゃっています。イベントに出る時の衣装について相談したり、自分で買った服をうまく撮影とかで使いたい時にあおいちの家に行ってスタイリングしてもらったり。その行為を私は“あおいちクローゼット”と呼んでいます(笑)。

――AOIさんとはどんなきっかけで知り合ったんですか?

valknee:「ラジご」のつーちゃんきっかけです。二人はイギリスで知り合って、「valkneeに合いそう」ってつーちゃんが紹介してくれました。

――つかささんはキーマンですね。

valknee:そうなんです(笑)。実際に紹介してもらったらすぐ意気投合して、結構長いこと仲良くさせてもらっています。

――渡辺志保さんが出演された「ラジご」でvalkneeさんが脚を出すきっかけになったエピソード(https://youtu.be/Tl1HayNh5ZM?t=1864)がすごく素敵だなと思って。

valknee:私は自分の身体や見た目に対してポジティブに思ったことがそんなにない。特に対社会的には「あんまり好きじゃない」と表明していた。けど、あおいちはポジティブに捉えていて、「ここがvalkneeのいいとこだから、こういう服が似合う」ってフラットに言ってくれるんです。

――めっちゃ良い話ですよ。

valknee:あといろいろ積極的に提案してくれる。そういうとこも自分と違う。しかも細かいところをわかってくれる。全身を見て、見え方の調整をしてくれたり。本当に頼りになる人です。

――valkneeというアーティスト名も、膝(knee)が気に入っているからなんですよね。

valknee:そうです!

――valの部分の由来を教えてほしいです。

valknee:中学時代に本名のハルナをもじって「バルナ」って呼ばれていたからですね。

――それはなぜ?

valknee:ブラックな毒舌キャラなのに名前が可愛すぎるって(笑)。以降、「バルナ」が定着したので自然とvalkneeになりました。

――最後に今後の活動予定を教えてください。

valknee:まずは「Crash Summer2」に来ていただきたいのと、年内に2ndアルバムが出せたらいいな、という感じですね。とはいえ、締切を決めるのも自分なので、もうちょい伸びちゃうかもしれない。だけどできるだけ年内に出せたらいいですね。楽しみにしていてほしいです。


valknee(バルニー)
ラッパー、アーティスト。1991年生まれ。東京を拠点に活動中。Zoomgalsとしての活動やAbema TVから配信された「ラップスタア誕生2023」への出演、和田彩花、REIRIE、lyrical schoolらアイドルへの楽曲提供など活動の幅を広げる。2024年4月に1stアルバム「Ordinary」をリリース。隔週月曜日にPodcast「ラジオ屋さんごっこ」を各種音声配信サービスより配信中。

宮崎敬太
1977年生まれ、神奈川県出身。音楽ライター。オルタナティブなダンスミュージック、映画、マンガ、アニメ、ドラマ、動物が好き。WEB媒体での執筆活動の他、D.O自伝「悪党の詩」、輪入道自伝「俺はやる」(ともに彩図社)の構成なども担当。
Instagram:https://www.instagram.com/exo_keita/
X:https://x.com/djsexy2000

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