Breaking Atoms Vol.1 丸竹夷「JKブランドを存分に使い倒して捨てる」

これから世に打って出ようとしているアーティスト/クリエイターにフォーカスする新連載「Breaking Atoms」。
記念すべきVol.1は、間もなく卒業式を迎える現役女子高生バンド・丸竹夷(まるたけえびす)をピックアップします。
2024年3月にSNSに投稿した動画で話題となってから、同年9月にデビューシングル『はむはむGX(ギャラクシー)』をリリース、さらに12月22日・23日に京都と東京で初のワンマンライブツアーを敢行。そして2025年3月には、ファーストアルバム「丸竹夷」のリリースと京都劇場でのホールワンマンライブ2daysを控えている彼女たち。
2024年12月23日に行われた渋谷 CHELSEA HOTELでのライブの翌日、高校生ながらも真剣に音楽と向き合い、世界をも見据える丸竹夷の三人に、前日のライブの感想や楽曲制作の方法、今後の展望などをお聞きしました。
(左から)Dr. 紅留美(クルミ)、Gt./Vo. 姫花(ヒメカ)、Ba. 莉音(リオン)
東京のライブではエセ関西弁を意識?!
――2日に亘るライブツアーお疲れ様でした。ライブの感想を教えてください。
姫花:1日目の京都は友達や家族が来てくれて、楽しく終わることができました。京都では路上ライブとかもしていたので、顔を知っているファンの人も来てくれているのを見て安心できました。
2日目の昨日は東京でしたが、これまで東京でライブをしたのは1回だけだったので「どんな感じなんやろ」って、ライブ前はずっと不安でした。恐らくですが、私たちのライブは初めて、という人が8割くらいだったと思います。
でも、いざステージに出たら最初から拳が上がってて、「こんな感じなんや!やば!!楽しい!」って(笑)。すごく元気なお客さんが多くて、なんなら京都より盛り上がってるんじゃない?ってくらいでした。
莉音:東京での初ライブは対バンイベントだったので、自分たちのファンじゃない人が多くて。対バン相手の雰囲気に呑まれてしまったところもあって、自分たちの空気を上手く作れなかった。
姫花:東京にはそんな苦い思い出があったから、今回「東京ってこんなに温かいんだ…」って、イメージが変わりました。
――紅留美さんもドラムを叩きながら笑顔が弾けていましたね。
姫花:紅留美は練習中もライブ前も緊張して怖い顔になっていたので、ステージで後ろを向いて「笑顔、笑顔」って声かけて。でもすぐに楽しそうにドラムを叩いていたから良かったです(笑)
紅留美:本番も移動中もずっと楽しかったです。でもいまは緊張と不安から解放されて、少し疲れてきたかもしれないです(笑)
――関西弁のMCが印象的でした。
姫花:東京の方からしたら、やっぱり新鮮ですよね。なので、東京では関西弁を積極的に出すようにしました。やりすぎるとちょっとエセ関西弁みたいになっちゃうんですけど(笑)
京都を代表するバンドになりたい
――京都への思い入れが強いですね。
姫花:バンド名は、京都の通り名を覚える歌「まるたけえびすにおしおいけ(丸・竹・夷・二・押・御池) 」の冒頭部分から取っています。
3人とも京都生まれ京都育ちなので、『はむはむGX』のジャケ写やMVの衣装は、京都を意識して和装にしました。
京都を代表するバンドになるのは目標の1つで、10-FEETさんが企画する野外フェス「京都大作戦」にも出てみたい。毎年台風とかで天気が悪いですけど、私たちが出る日は晴れにします(笑)
――今回のツアー名は「Go to the GALAXY」です。さすがに宇宙は難しいかもしれませんが、京都から世界へ飛び出していくイメージが沸いてきます。
姫花:やっぱり海外でも活躍したいです。和装を着たビジュアルは、海外を意識したところもあります。
先日『はむはむGX』がイギリスのデイリーチャートで急に1位になってびっくりしました。海外の人にも届いているみたいでうれしかったです。
――となると、今後は英語の歌詞にも挑戦したりするのでしょうか。
姫花:実は昨日のライブが終わったあと、海外を目指すために英語で歌詞を書いてみよう、って話してたんです。でも3人の英語の点数を足しても50点に届かない(笑)
高校を卒業したら少し時間に余裕ができると思うので、色んなことを習得していきたいです。言葉は英語だけでなく中国語とかも。3人がそれぞれ色んな言語を喋れるようになったら面白いかもしれない。
授業中に思いついた歌詞は教科書にメモ?
――ライブで披露された新曲『海月少女』は、莉音さんがピアノを弾いていましたよね。コーラスも印象的でした。
莉音:丸竹夷の曲は全部、コーラスのキーが高くて、もうやばい(笑) 練習を頑張りました。
姫花:今回のライブでは、ピアノやアコギを使ったこれまでとは雰囲気の違う曲も披露しましたが、もっとみんなが色々な楽器を演奏できるようになって、メンバーのなかで楽器をチェンジするようなこともやってみたい。
紅留美:TikTokでギターやベースの演奏動画を見てると、やっぱりかっこいいなと思います。ドラムと違ってライブ中に動けるのも良い。昨日のライブでも『光があるから』で2人が背中合わせで演奏しているのを後ろから見てて、かっこよくて羨ましいな、と思ってました。
――他にも多くの曲を披露されていましたが、楽曲はどのように作っているのでしょうか。
姫花:『海月少女』『光があるから』『ライラ(夜兎)』とかは、先に歌詞が上がってきて、私がそこにメロディーを乗せるんです。莉音が書いた歌詞が輝くように意識しています。逆に、私が作ったメロディーにあとから歌詞を乗せてもらうときもあります。
莉音:日常の中で思ったり感じたことは、なるべく詩にしたりメモするようにしていて。曲を作るときにはそのメモを見て歌詞を考えています。ペンで書くときもあるし、スマホに入力するときもあるし、ボイスメモで残したりすることもあります。
姫花:学校の休み時間に莉音が教科書を持ってきて「新しい歌詞書いた!」って見せてくるんですよ(笑) それを「ありがとう」って写真に撮って、曲にするみたいなこともあります。
――莉音さんにとって作詞しやすい授業とかあるんですか?
莉音:やっぱり国語です(笑)
ヘドバンだけじゃ物足りない!3人の見せ場が詰まった『サキホコレ!!』
――新曲『サキホコレ!!』はどのように生まれたのでしょうか。
姫花:私がメロディーを作ったんですけど、「いっそドレミファソラシドにしちゃう?!」という話になって、サビは本当にドレミファソラシドの音階で上がっていく。それがこの曲のポイントですね。1回聴いただけで歌えるくらいキャッチーな曲になりました。
ライブではみんなで歌うパートがあるんですけど、本当にお客さんがみんなで歌ってくれてうれしかったです。サビの「ドレミファイト咲け」のところは応援歌として聴いてほしい。
丸竹夷–サキホコレ‼︎–【Live Video】LIVE TOUR 2024-Go to the GALAXY-
――紅留美さんのラップも新鮮でした。
姫花:「歌うんや紅留美ちゃん」「しかもラップや」って思いますよね(笑)
曲の中でヘドバンできる部分が欲しくて、そういうパートも作ったんですが、ヘドバンだけじゃ物足りなくって。「ここでくるみっぽいラップやってくれへん?」って感じで作ってもらって、無理やり入れたんです。
『サキホコレ!!』には、私と莉音の2人での掛け合いの部分とかもあって、この1曲に3人の色んな見せ場が詰まっています。
――紅留美さんは、約1年前に姫花さんと莉音さんにバンドに誘われてからドラムを始めたとは思えないですね。
紅留美:普段曲を聴いていても、ドラムに注目して聴くようになりました。ここは連打で難しそうだな、とか。
姫花:「このペダルは踏みにくい」「家で使ってるやつの方がやりやすい」とか言うようになってきたので、そういうのも分かってきてるんやな、って思いますね(笑)
中学時代はテニス部のキャプテン、いまは絶対的なリーダー
――姫花さんはお兄さんがきっかけでギターを始めたんですよね。
姫花:兄がバンドをやっていたのを見てて「かっこいいな」と思っていました。家族の影響で私もBOØWYやB’zが好きになって。中学では部活に専念してたから音楽ができませんでしたが、高校生になって兄からギターをもらい、軽音部に入ることに決めました。
中学ではテニス部だったのでテニスもしたかったんですけど、やっぱりギターがやりたくて、軽音部には憧れがあったので入りました。
莉音:テニス部のキャプテンだったんだよね。
姫花: そう、キャプテン。やらせてもらってました。
――そういえば丸竹夷のリーダーはいるんですか?
姫花:はい、私が絶対的なリーダーです(笑)
色んなことあり過ぎてちょっと記憶から飛んでたけど、文化祭とかマジ青春。
――怒涛の2024年を振り返って、どんな1年でしたか?
姫花:やっぱり丸竹夷を結成したことがいちばん大きいです。それが無かったら、この1年何してたんやろって思う。多分ただぼーっとして「あ、もう年明けた」って感じだったなって思うと、バンドで色んなところに行って、たくさんの人と出会ったのは、本当に超デカいですね。
COMPLEXの『BE MY BABY』をコピーした動画に布袋寅泰さんからリプを貰えたのがきっかけで、メディアの方や事務所の方に声をかけてもらって、めっちゃ濃い1年になりました。色んな新しいことができて楽しいし、若いうちにこういう経験ができてありがたいと思っています。
莉音:やっぱりライブですね。今回のライブは本当に今までで1番いいライブができたと思っています。 デビューライブの景色を見たときと同じ気持ちになって、心が揺さぶられて。 練習も3人で頑張って、作詞・作曲も頑張ったから、曲が身体に染みついて、ライブに楽しく挑むことができました。
紅留美:私が1番印象に残ってるのは、お父さんがライブを見に来てくれた日のことです。3人でバンド活動することをその日に初めて認めてくれました。
嬉しかったし、お父さんも喜んでくれて、ライブが終わった後に「生まれてきてくれてありがとう」って言われて。その言葉が聞けて安心して大号泣しました。それが1番心に残っています。
姫花:色んなことあり過ぎてちょっと記憶から飛んでたけど、文化祭とかマジ青春。まじであれはやばかったよね。1,000人くらいの全校生徒がいるなかのライブで。
莉音:めちゃくちゃ盛り上がってくれたよね。
文化祭 JKが『BE MY BABY』で登場したらバカ盛り上がった
姫花:事前に、部活のLINEグループとかに「盛り上げ方講座」みたいな動画を送ったんです。この曲のここではこうするよ、みたいな動画を撮って全校生徒に送信して。本番でみんながやってくれて、凄い景色が見れた。
同じ学校の後輩とかからも「いつも見てます」とか「写真撮ってもいいですか」とか、ファンみたいに声をかけてくれて嬉しかったです。自分たちに憧れて軽音部に入ってくれた子もいるよね。
丸竹夷は丸竹夷。明るく面白く、というのは変わらない
――ライブを終えて、次の目標を教えてください。
姫花:近い目標だと、3月に京都劇場で2日連続でライブをさせていただくんですけど、もちろんホールでやるのは初めてで。JKでホールライブ、しかも2daysなんて前代未聞。まずはその2daysを埋めたいです。
会場が広くなるからもっといろんな曲をやりたい。まだ2曲しかリリースしてないのに今回のツアーではお客さんが500人以上来てくれて、本当にありがたいことです。これから曲をもっとたくさん出して、ちょっとでも曲を好きになってもらって、ライブを観に来てくれる人を増やしたい。そのために、SNSも頑張っています。面白いことをして、人間性も好きになってもらいたい。
京都劇場が埋まる前提で、次の目標もあります。夏フェスとかにもいっぱい出て、とにかく色んなところでライブをして、より多くの人に私達の歌を届けたい。
莉音:その中で、丸竹夷のサウンドを見つけていきたいよね。
姫花:街で丸竹夷の曲が流れたら「これ丸竹夷の曲ちゃう?」ってみんなが思ってくれるようになったら嬉しい。
――高校卒業後、4月以降はどのように活動されるのでしょうか。
姫花:3月のライブのタイトルが・・・
莉音・紅留美:「JK THE END」
姫花:まさにそのとおりでJKが終わる。JKのうちは制服を着て、JKブランドを存分に使い倒して、で、捨てる(笑)
4月以降は新たな丸竹夷になります。どう変わるかはお楽しみなんですけど、まだ完全には定まってなくて。初のワンマンライブが終わったので、落ち着いてから3人で今後の方向性を話し合いたいと思います。
曲もガラッと変わるかもしれないですが、丸竹夷は丸竹夷。明るく面白く、というのは変わらないです。
【リリース情報】
ファーストアルバム「丸竹夷」
2025年3月5日(水)
初回限定盤(CD+DVD)、通常盤(CD)、デジタル配信
1. サキホコレ!!
2. 恋をしよーよ
3. 夜兎
4. あなたと夢をみる
5. 光があるから
6. ラッキーもう1本
7. まねきねこ
8. はむはむGX
9. 海月少女
10. ビキリ18
【ライブ情報】
2025年3月22日(土)17:30開演 「JK THE END」
2025年3月23日(日)17:30開演 「18 -New Chapter-」
一般:5,000円
学生:500円(学生証必須)
チケット:https://l-tike.com/mte25/
TEXT:KENDRIX Media 編集部
PHOTO:雨宮透貴
「KENDRIX EXPERIENCE」参加申込み受付中
開催日時:2025年3月29日(土)14時〜21時(予定)
開催場所:渋谷ストリーム ホール(東京都渋谷区)
参加費:無料(事前申込みはこちらから、応募締切:2025年3月16日(日)23時59分)

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