ヘドバンやるなら足腰から! ジムトレーナーに聞くライブを100倍楽しむための筋トレ
音楽ファンの深刻な悩みのひとつに「体力がなさすぎてライブが疲れる」というものがある。
楽しいのに疲れる、疲れるけど楽しい……。
そんなライブの悩みを解消するため、今回はジムトレーナーの野田航平さんに、音楽ファンにおすすめの筋トレについて聞いてみた。
野田航平さん(左):女性専用パーソナルジムの店長。モテたいと思いトレーニングを開始。身長184cm・68kgから85kgまで増量しつつ、スタイリッシュな身体を維持。
まいしろ(右、聞き手):エンタメ分析家。なんでもないことを真剣に調べる記事をたくさん書いている。一番嫌いな言葉は「腕立て伏せ」。
マッチョはライブでも疲れない
まいしろ(以下まい):そもそもマッチョってライブに行っても疲れないんでしょうか?
野田:僕はサンボマスターのライブに行ったことがありますが、まったく疲れませんでした。
サンボマスターのライブに勝利した野田さんのマッスル(左)。圧倒されるまいしろ(右)。
まい:サンボマスターのライブで疲れない人、この世にいるんですね。
野田:日常生活だけで身体が疲れることはまずないですね。なので、音楽ファンも筋トレすればライブをはしごできるようになると思いますよ。
まい:まったく想像がつかないんですけど希望は持てます!では、ここからは音楽ライブならではの特殊な動きを解説してもらいます。
ひとつめはロックライブでおなじみの人を持ち上げる「ダイブ」です。
以下、イメージ映像でお届けします。
!CAUTION!
主催者により、ダイブやモッシュ、サークルモッシュなどの行為が禁止されているケースも多々あります。あらかじめ主催者の定めるルールを確認しこれを厳守してください。
これらの行為が禁止されていない場合も、あらかじめ筋トレなどに励み、自分の身を護るだけでなく周りの人もサポートできるようにし、みんなで音楽を楽しめる思いやりに溢れた環境の実現を目指しましょう。
野田:ダイブはまさに筋トレ向きの動きですよねー!
まい:野田さんが活き活きとしている……!
野田:まず上を転がる側(ダイバー)は体幹を鍛える必要があります。体がふにゃふにゃしたままだと下の人が押す力が上手く伝わらず落ちてしまいます。
まい:ダイブで体幹の強弱がばれてしまうとは…
野田:逆にいうと、体幹がある人は初心者でもダイブがうまいんです。つまり、レスラーなどはダイブがかなりうまいはずです。
まい:新しい視点すぎる。
野田:なので、ダイブをやりたい人は、プランクで体幹をきたえましょう!
「プランク」は床に手足をつけて身体を持ち上げる筋トレ。流れでなぜかやることになってしまい、めちゃくちゃきつかった。
野田:プランクをするときは腰がそらないように注意して、できるだけ長時間キープしましょう!
まい:つ、つらい……!
できるだけキープ(10秒)した。
まい:もうだめだ(ここで倒れる)。あの、ダイブでよくある論争についてもお聞きしたいんですが、上のダイバーと下の支える人、どちらの方が筋肉的には大変なのでしょうか?
野田:上のダイバーですね。下の人は一瞬なので、筋肉への負荷は低いです。もし支える側として高みを目指したい場合は、ダンベルやバーベルを持って肩の筋肉をきたえるといいと思います。
まい:ライブの最前線で、アーティストのダイブを支えたい人はダンベル上げをするといいかもしれないですね
ライブをジム代わりにしよう
まい:続いてはモッシュ。オーディエンスが踊りながら体を激しくぶつけあう動きをいいます。
野田:これは筋トレビッグスリーのスクワットとデッドリフトが効きますね!
まい:筋トレビッグスリー?
野田:スクワット、デッドリフト、ベンチプレスの3つのことです。この3つは基礎かつトレーニングの中心となる動きなんですよ。
まい:モッシュをする人は、その筋トレビッグスリーをするといいということでしょうか?
野田:そうですね。ダイブは体幹ですが、モッシュは全身なんですね。
なので、モッシュがしたいならスクワットとデッドリフトで全身を鍛えましょう! 心肺機能も必要なので、短い20メートルダッシュを組み合わせるのもいいですね
まい:急に運動部のトレーニングメニューみたいになってきた…!
もうひとつ、モッシュでは「転んだ人がいたら周りのみんなで助け起こす」という暗黙のルールがあります。
ありがたいことに私も助けてもらったことがあるんですが、恐ろしいスピードで起こされました。どんな筋トレをすれば彼らのようになれるんでしょうか?
野田:デッドリフトですね。というか、その「人を助け起こす」動きがデッドリフトそのものなんですよね。
まい:モッシュの救出ってみんなでデッドリフトする作業だったんですね。
野田:よくモッシュで救出をしている方は、ライブをジム代わりだと考えていいですよ
まい:世界で一番楽しいジムですね!
というわけでデッドリフト(つまりモッシュの救出)もやることになった。
足を肩幅に開いて、両手にダンベルを持つ(男性なら片手で10kg、女性なら3kg程が目安)。背中を曲げない、足が内股にならないように注意!
これを5〜10回ぐらい繰り返す。1回あたりひとりを救出したと思いながらがんばろう!
まい:家にダンベルがないときはどうすればいいですか?
野田:身の回りの軽い人を持ち上げてください。持ち上げられる側も体幹をかためないといけないので、さきほどのダイブの練習になりますよ!
まい:音楽ファンどうしでライブ前にやると盛り上がりそうですね!
ヘドバンすると格闘技がうまくなる
まい:続いては、サークルモッシュ。モッシュの派生形で、ひたすら輪になって皆で走ります。
野田:これは足腰をきたえることが重要ですね。「スプリット」という、足を前後に開いたスクワットが効きます。
まい:サークルモッシュは転ぶとかなり危ないのですが、転ばないためのトレーニングはありますか?
野田:実際と同じ大きさの円を走る練習をした方がいいですね。まっすぐ走る素走りだと感覚がつかみにくいと思います。
まい:できるだけ現場に近い環境で走るのがいいんですね。
野田:あとは、できれば練習のときは全力疾走して、本番では7割で走る。そうすると余裕をもってサークルに入っていけると思います。
まい:なるほど!次はヘビメタなどのジャンルで人気のヘドバン。慣れていないとかなりつらい動きです。
野田:僕、これ昨日試しにやって筋肉痛になったんですよ。
動画を見ながらやってみたら首が痛くなったらしい。
まい:ジムトレーナーでもヘドバンで筋肉痛になるんですね!?
野田:ヘドバンは首の筋が張るのでかなり危ないと思います。やる前に必ずストレッチした方がいいですね。
まい:ヘドバンがうまくなるための筋トレはありますか?
野田:ヘドバンがうまくなるためにはヘドバンをするしかないです。
まい:そうなんだ
野田:ただ、ヘドバンの練習とあわせて、プランクやスクワットなどを取り入れるのは有効です。足腰が鍛えられて頭を支えやすくなると思います。
まい:ヘドバンがうまいと何かいいことはありますか?
野田:肩こりしないと思います。そもそも、肩こりがひどい人はヘドバンできないと思いますよ。
まい:普段の生活が試されてるんですね。
野田:あとは首が強くなるので、格闘技がちょっと強くなってると思います。
柔道やボクシングなど、首に負荷がかかるスポーツは、他の人より得意かもしれませんね。
まい:ここまでいろんな筋トレを聞いてきましたが、もしライブに向けて筋トレをする場合、最低どれくらいの期間が必要でしょうか?
野田:2週間は欲しいですね。最初は筋肉痛も多いので、少し前から準備して欲しいです
まい:チケットが取れたら筋トレを始めると一番モチベーションが保てそうですね!
※後編では「手を挙げる」「手拍子をする」などもっと手軽な動きについて聞いていく
TEXT:まいしろ
(プロフィール)
エンタメ分析家。データ分析やインタビューを通して、なんでもないことを真剣に調べてみた記事をたくさん書いてます。音楽と映画が特に好き!
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